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せまひろかん

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『キングコング 髑髏島の巨神』は過去への回答と新時代の到来を告げる

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久々に怪獣映画らしい怪獣映画を見た気がする。『シン・ゴジラ』は傑作なのだが、こちらはドキュメント調であり怪獣映画から逸脱した特異点ともいうべき仕上がりで、怪獣映画を見たというよりも「とんでもない物を見た」という感覚に陥ったが、キングコングは心が5歳に戻る怪獣映画になっている。

過去の東宝怪獣映画では予告に「怪獣映画の決定版」という文字が出てくるが、キングコングはまさにそれが当てはまる。
今回のキングコングは怪獣映画のセオリーを踏襲しながら、過去に対するアンサーを示しているように思えた。33年版のオリジナルキングコングへの強烈なアンチテーゼとも捉えられるアンサーがそこに存在した。

ネタバレがあるので未見の方は注意してください。

人間に対する警鐘


33年のオリジナルコングでは第一次大戦に投入された新兵器の航空機が活躍しコングを倒している。人類が夢見ていた空を飛ぶことまで可能となった人間が科学力で自然を支配できると錯覚し始めたことを意味していると思う。

今回の『髑髏島の巨神』は冷戦期の73年が舞台。冷戦による軍拡競争が起こり、遂には人類を月にまで送り届けるほどになった時代だ。
冒頭で機械は人間を越え、衛星で地球の全てを把握出来ると語られている。33年とは比較にならないほどに科学力と軍事力が向上しており、それはこれからもまだまだ続いていく。月に足跡を残した人間は自然に対する慢心が深刻化している時代だといえる。月にまで進出したのだから無理もない。自然は支配できるという錯覚がかつてとは比べ物にならないほど深刻化している。

劇中では14年公開の『GODZILLA』にも登場した『モナーク』が米軍を率いて髑髏島を調査する。しかし、調査団はコングによって壊滅的な被害を受ける。
何人もの部下を殺された米軍のパッカードは武力でコングを葬ろうとし、その考えに取り憑かれる。
コングという大自然の猛威を葬るために墜落したヘリに搭載された武器を捜し求めるパッカードの姿はまさに科学力と軍事力があればコングを倒せると思い込み、実際に倒してしまった33年版の思想、そして73年という軍拡時代そのものがパッカードに投影されている。

モナークに雇われ米軍とともに髑髏島に足を踏み入れた傭兵コンラッドもコングの洗礼を受けてしまい、髑髏島サバイバルを余儀なくされる。コンラッド達は島をさまよい続け、原住民と第二次大戦時に髑髏島へ落ちそこで生き続けた米軍兵ハンクと出会う。コンラッド達は彼らと交流していくことでコングの強大さと神聖さ、ひいては大自然の偉大さを理解していく。

ハンクは第二次大戦で時が止まっている。肉体は老いても心は未だにあの時で留まっているのだ。何十年も島に生き続け、科学力と軍事力が異様なほど向上している73年の現実を知らない。ハンクは純粋無垢な存在と捉えられる。だからこそ人間が足掻いても太刀打ちできない事実を受け入れることができたのだろう。ハンクは人間の根底にある本質、大自然に対する敬意を体現していると考える。

今回のコングは軍事力を狂信的に信奉するパッカード陣営と人間の本質に気づいたコンラッド陣営の対比構造だと考える。
人間がどうやっても支配できない存在がいる。しかし、それは狂信者には認知できない。だからこそパッカードはコングに殺されたし、スカルクローラー相手に自爆しようとした米軍兵コールは尻尾で吹き飛ばされた挙句に一人だけで爆死してしまう。
必死に考え抜いて行動する人間達を嘲笑するかのごとく、怪獣たちは人間を葬り去っていく。大自然の猛威を怪獣たちに置き換えることにより、人間が自然に敵わないという事実を表現しているのだ。

モナークも怪獣から人間を守る必要があると考えている。思想的にはパッカードと同じだ。モナークが島に爆弾を落とすことでコングを怒らせたという皮肉な展開だ。やはりこの作品は科学力軍事の盲信と大自然に対する畏敬の念がぶつかり合っている。

だからこそ33年オリジナルコングへのアンチテーゼめいたアンサーになるのだろうと考える。
航空機によって倒されたコングが、今度は自分に向かってくる航空機(ヘリ)を全てなぎ倒してゆく姿は33年版へのアンチテーゼといえる。。
まさに科学力で自然を支配することはできないとの解答を示したのだ。
冷戦期という科学力が右肩上がりに上昇する時代に物語を設定したことでこのようなアンサーを生み出せた。このアンサーは現代にも通じているはずだ。

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『モンスターバース』のテーマが見えてきた


ゴジラとキングコングの共通世界観『モンスターバース』のテーマが本作によってはっきりと見えてきた。

『GODZILLA』ではゴジラはペルム紀に生態系の頂点に君臨していた一族の末裔で人間の核実験により地上の放射能濃度上昇で再進出してきた設定だ。人間がゴジラを呼び寄せ、罪もないゴジラを核兵器による抹殺を試みたが失敗に終わっている。ゴジラは移動するだけで津波のような大波を発生させ、都市を破壊する。ミサイル攻撃などにも平然としている。その姿は動く大自然に猛威だ。

現代の強力な核兵器を使用してゴジラと二頭のMUTOを葬り去ろうと計画するが、核兵器はMUTOに奪われてしまい人間はその対応に右往左往させられる。
大自然の前には人間の力など到底及ばないということを示している。

そして20年にゴジラと対峙することになるキングコングも大自然の猛威として描かれた。

ゴジラとキングコングで見えてきた『モンスターバース』のテーマ。
それは"大自然の強大さ"なのだろう。
人間が怪獣を葬り去ろうと画策しても、怪獣たちはあざ笑うかのように行動していく。人間は混乱することしかできない。
大自然の強大さを怪獣に置き換えることで我々人間が自然の一部分でしかないという地球生態系の本質を示しているのだろう。

『キングコング 髑髏島の巨神』は強烈なまでに振り切れた娯楽性と監督の趣味を前回にしつつも、観客に地球生態系の本質と人間が忘れてしまったものを伝えてきたのだ。

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新時代の幕開け


日本では『シン・ゴジラ』が怪獣映画を新たな時代へと推し進めたように、アメリカでは『キングコング』が新時代の幕をこじ開けた。

『モンスターバース』が本格的に開始される。2014年のレジェンダリー版『GODZILLA』公開時には誰もが予想できなかったはずだ。
キングコング、ゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラが同じ世界に存在しているとは誰が想像できただろうか。
東宝怪獣とキングコングが入り乱れる誰もが夢見たが実現できなかった奇跡が遂に実現した。まさに怪獣映画の新時代が到来したといえよう。

アメリカの怪獣映画を牽引するのはやはり『キングコング』でなければならなかったのだろう。
奇しくも日米を代表する怪獣が新時代を切り開いたことには何か運命的なものを感じざるを得ない。

2019年に『怪獣王ゴジラ』、2020年は『ゴジラVSキングコング』が予定されている。この一大プロジェクトから目が離せない。

『君の名は。』の何が凄まじいのか、改めて考えてみた

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『君の名は。』を何度か見た。やっぱり凄い。新海誠は凄い。改めて実感させられた。

以前にも似たような記事を書いたけれど、やはり新海監督はとんでもない事をやらかしたのだと改めて理解した。これが更に進化した新海監督の姿。改めて新海監督が何をしたのか、僕がどう感じたのか記していこうと思う。

長文なので要約すると「新海監督は凄い。やっぱり僕は新海監督が好きだ」ということです。ちなみに新海作品全般のネタバレがありますのでご注意を。

遂に運命へ抗った

『君の名は。』はいつもの新海作品とは異なる。特筆すべき点はやはり「運命に抗った」ことだろう。
これまでの新海作品は「運命を受け入れる」傾向にあった。

『ほしのこえ』から『言の葉の庭』まで一貫して「惹かれあう男女が引き裂かれていく様」を描いている
ほとんどが男性側の視点で描かれており、自己陶酔的な目線で物語を紡いでいく。そして、ラストは二人が引き裂かれても「それが運命だから仕方がない」と受け入れて終幕している。

これまで新海監督は「運命には抵抗できない、受け入れるしかない」という作品ばかり送り出してきた。
だが『言の葉の庭』で変化を見せていることも挙げておきたい。この作品では『君の名は。』に通じる要素を見せている。主人公とヒロインは最終的に引き裂かれてしまうのだが、最後に主人公は「彼女に会いに行こう」と語っている。これまでの作品とは異なり、少しだけ運命に抗おうとする動きを見せているのだ。

そして『君の名は。』は『言の葉の庭』から更なる進化を遂げている。
『君の名は。』の大まかなあらすじは以下だ。
主人公の瀧とヒロインの三葉が夢の中で入れ替わる。ある日、その入れ替わりが起きなくなり、その原因を突き止めると、三葉は三年前に彗星落下による災害で死亡していた事実に行きつく。そして、瀧は三葉を救うために動き始める。

かつての新海作品であれば三葉の死を受け入れ「これが自分たちの運命なのだ」、と抗うことすらせずに自己完結的に物語は終幕していたはずだ。
だが『君の名は。』は違う。時間を戻してまで、大切だったあの人を生かすために、取り戻すために、必死に行動するのだ。三葉の死を運命だと受け入れることはしなかった。運命から脱却するために、瀧は必死に前へと進むのだ。必死に抗い続けるのだ。
そして運命に抗った二人は再会する。

これが今までの新海作品とは大きく異なる点だ。
二人が引き裂かれてもそのまま、という締めくくりばかりだった新海作品において特異点とも言える前向きさを放っている。

あの新海監督が運命に抗ってしまった。これまでの作品とは全く違う前向きさを見せつけた。
初見時はそれに気づけなかった。あの再会のラストだけで本質を看破したような気分になり「こんなのは新海じゃない!」などと喚き散らしてしまった。
新海監督は成長したのだ。それなのに僕は置いていかれたことを、いや、追いかけようともしなかった。その事に気づいたとき、僕は新海監督に負けたことを理解した。
僕は、何を

貫き通した美しさ

『君の名は。』は異常なまでに「美しさ」を貫き通している。
新海作品の売りは映像の美麗さだというのは周知の事実だと思う。しかし、映像の美麗さだけではなく、物語の何もかもが美しい仕上がりになっている。

物語の象徴である「ティアマト彗星」。1000年周期で地球を訪れるこの彗星が糸守町に落下し、街は消滅。三葉を含む500人以上の人々が死んでしまった。
そう、彗星は大災害の元凶であり、悲劇の象徴なのだ。
そのはずなのに誰も彗星を責めることも、犠牲者を憐れむこともしない。災害に付きまとう負の側面がほとんど描かれていないのだ。
犠牲者名簿や、糸守町の記録が描写され、その瞬間だけは「彗星災害は悲劇だった」という空気が形成される。だが、その悲しみを後の物語に引きずることはしなかった。

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瀧は三年前に彗星をみて「ただひたすらに美しい眺めだった」と語っている。しかし、その彗星こそ三葉を死へと追いやった元凶だ。
普通の作品であれば瀧の胸中には「なぜ俺はあの時彗星を美しいと思ったんだ。三葉を死へと追いやり、町を消滅させた彗星を美しいと思うなんて馬鹿な考えを」といったような自分を非難するような感情を描いていたかもしれない。誰かが瀧の「美しい」という思いを責めたり慰めたりしたかもしれない。しかし、瀧はそのような感情を一切引き起こさない。周囲の人間は誰も彗星落下を悲劇だと口にする者はいない。淡々と何が起きたのかを説明するだけにとどまっている。
彗星の存在に悲劇性をほとんど持たせていないのだ。

瀧は三葉に会うためにただ前を向いている。彗星を責めることもしない。過去を振り返ることもしない。ただ三葉に会うために進んでいくのだ。

仮に彗星を悲劇の象徴として描くのであれば、「スパークル」のような美しく切ないラブソングを流すことはしなかったはずだ。悲劇性を高めるのであればもっと悲しげな選曲になっていてもおかしくない。

だが、新海監督は悲劇性を高めなかった。彗星落下前の大騒動から一貫してラブソングを流し続けるほどに美しさだけに主題を置いているのだ。
変電所が爆破され役場は大騒動になり、町は混乱している。そんな大騒動が起きているのに美麗なラブソングを流し続けた。
この美しくも切ないラブソングは彗星が地表に激突する寸前まで流れている。
もはやこの演出は並の精神では成しえないだろう。
大災害が起きようとしているのも関わらずラブソングを流し続け、元凶である彗星を美しいものだと貫き通した新海監督の信念と演出力には言葉が出ない。ただ単に「凄い」としか言いようがない。言い換えれば「異常」な演出だ。

徹頭徹尾、物語を、彗星を美しいものとして貫き通したのだ。

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言えなかった言葉を言えた


新海作品としては直球ともいえるラブストーリーに仕上がっている『君の名は。』
遂に「好きだ」という言葉が飛び出した。今までの作品では「好き」と伝えることすらままならなかった。
秒速5センチメートルの二話で花苗が布団の中で「遠野君のことが好き」と独白する場面がある。しかし、これは悲しいが独白でしかない。自分の思いを相手に伝えられていない。

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だが『君の名。』は文字という間接的な伝え方ではあるが瀧が三葉に「好きだ」と伝えたのだ。
あの新海作品で、遂に出た。直球な告白が出てしまった。僕は驚いた。新海監督らしからぬ直球さにただただ驚いた。同時に「ああ、よかった」とも思えた。あの新海監督が遂に好きだと言うことが出来た。今までは言えずじまいだった言葉を、今回は遂に言えたのだ。こんな直球すぎる場面が出てくるなんて想像していなかった。だからこそ、落涙するしかなかったのだ。

だけど、やはり新海監督だなと感じる。三葉は自身の掌に書かれた「好き」だという言葉を見て、それを書いた人である瀧の名前を思い出せない。思いを伝えつつも何かを失ってしまうのはやはり新海監督だと感じさせられた。

それでも貫いた『喪失』


先ほども述べたように『君の名は。』には喪失が存在している。
『君の名は。』は新海監督にしてはマイルドだとか、リア充向けだとかいう評を見かける。確かに、そんな雰囲気を醸しているのも事実だ。いつもの新海監督らしからぬ要素が多い。

最後に瀧と三葉が奇跡的に再会を果たすからこの作品は一見するとハッピーエンドに見える。
だが、果たしてこれは単純なハッピーエンドなのだろうか。本作を読み解いていくとこの作品にも喪失が組み込まれていることが見えてくる。

物語の最高潮ともいえる、糸守町を救うために大騒動の場面で瀧と三葉が互いの名前を忘れてしまう。これはこの物語における喪失の代表だ。だが、本作の喪失はこんな単純なものではない。

物語終盤。就活を行う瀧が糸守の事を思い出す場面がある。
かつて糸守と彗星を必死に調べていた時期があった。だけど、なんでそんな必死になっていたのかが分からない。あの町に知り合いがいたわけでもない、と独白している。
そして追い打ちをかけるように「今はもうない町の風景に、なぜこれほど心を締め付けられるのだろう」と独白するのだ。
かつて必死だった思いを全て失ってしまう。なぜあれほど必死にあの町を調べていたのか、憑りつかれていたのか、それすら忘れてしまったのだ。二人の再会は絶望的と思えるほどの喪失がここに完成される。
全てを忘れているのに、ずっと何かを探している感覚だけは残っている。
その「探している物すら何なのかが分らなくなっている」という点は過去作品で貫いてきた喪失のテーマにぴったりと当てはまるのだ。

それでも二人は再会するしかない。大切な思いや記憶を失いつつも再会するしかない。喪失を抱えたまま再会し未来へと歩んでいく点は新海監督らしさと同時に新海監督らしからぬ矛盾めいた要素を兼ね備えているといえるだろう。
二人の再会に至るまでは新海監督らしさを保っている。喪失を抱えながらも再会するラストは新海監督がこれまでの型から脱却するため、あえて挑戦したのだと考える。
これまで新海作品の終わり方はワンパターンだとか揶揄されてきたが、『君の名は。』ではこれまでとは異なる再会の終幕だ。
だからこそ、僕みたいに拗らせた信者は新海監督が何をしたのかを読み取ることができず、再会してしまう終幕を「新海らしくない」などと切り捨ててしまうのだ。

二人が再開しているから、一見するとハッピーエンドに見える。
だが瀧は「好き」だと伝えたことすら忘れてしまっている。あの町に固執していた理由すら忘れている。なぜ彼、彼女でなくてはならないのか、その気持ちすら忘れているのだ。かつて大切だった記憶と思いを忘れてまで再会しなければならないという矛盾めいたラスト。
これは単純なハッピーエンドではなく、哀しさを孕んだ終幕なのだ。新海監督は単純なハッピーエンドではなく、いつものように喪失を抱えたラストを提示した。
その喪失を孕んだ哀しさは、新海監督の魔術によって美しさすら感じる物へと変換されている。だからこそ、大多数の人はハッピーエンドだと捉えたのだろう。だからこそ、これほどのヒットを記録したのだ。

新海監督は喪失を貫いた。大衆性の獲得というのは作家性を大きく殺すことになるはずなのに、新海監督は大衆性を獲得し、かつ自分らしさを保ち続けるという驚異の業を見せつけた。
まさか新海監督が過去からの脱却を図り、同時に伝統を維持し続ける作品を見せつけてくるとは思っていなかった。本当にすごいというしかない。語彙力だとかそういうものを失うほどだ。ただ凄いと言い続けるしかない。


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やっぱり新海誠は凄い、だが…


大衆性を獲得し新海作品初心者でも楽しめ、新海ファンはちりばめたセルフオマージュや喪失感を楽しめるという高度な作劇を見せつけた『君の名は。』

今回、新海監督は東宝と組んで脚本会議を行ったという。
その中で東宝側から「気持ち悪い」、「これは無神経」などの意見が出たようだ。新海作品の魅力でもある「気持ち悪さ」を東宝側も理解していたのだろう。そして、監督自身もその意見を受け入れたのだ。
それなのにもかかわらず、新海監督は自分らしさの象徴たる「喪失」を貫いたのだ。
東宝と新海監督の二人三脚は見事なまでに成功した。成功どころか相乗効果を表し『君の名は。』を大ヒットへと導いたのだ。
他の意見を取り入れた新海監督の胆力は凄いというしかない。

これは新海監督が新たなステージへと到達した作品だ。日本で自身の存在を周知させるの留まらず、アジア圏で確固たる地位を築くに至った。

突如として興行収入240億円を超え、世界で最もヒットした日本映画となった本作。
次回作へのハードルが高まったことは確かだ。
次はどのような作品を見せてくるのだろうか。一ファンとして期待と不安がいれ混じっている…。



『君の名は。』の世界興収がとんでもないことになっている

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中国で大ヒット。台湾やタイでも大ヒット。世界各国で大ヒットという胡散臭いキャッチコピーがあながち嘘ではない作品がある。『君の名は。』だ。
日本では200億円を超え、異次元に突入した本作は海外でも(日本映画としては)異次元ともいえる記録を打ち立てている。

なんだかもう訳がわからないので、とにかく調べることが出来た7カ国+日本の興収を見てほしい。最後に日本を含めた世界興収を記している。

中国

初週ランキング1位
初週興収 2.8億人民元(日本円約47.3億円 1人民元=約16.9円)

12月25日までの累計興収 5.6億人民元(日本円約94.7億円)

※中国では二週連続1位を獲得

猫眼電影調べ
猫眼电影 - 一网打尽好电影

 

台北

初週ランキング1位
初週興収 2381万台湾ドル(約8659万円 1台湾ドル=約3.64円)

12月25日までの累計興収 8743万台湾ドル(約3.17億円)

※台湾は台北のデータしか調べられず。台湾全土のデータは不明。

開眼電影網調べ
開眼電影網--新版--

 

香港

11月11日公開
初週ランキング1位
初週興収 6,149,917香港ドル(約9334万円 1香港ドル=15.1円)

12月18日までの累計興収 29,819,004香港ドル(約4.52億円)

hkfilmart.com調べ
hkfilmart.com

 

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タイ

11月10日公開
初週ランキング1位
初週興収 635,719USドル(約7485万円 1USドル=117.7円)

12月4日までの累計興収 1,222,693ドル(約1.43億円)

※タイは現地通貨(バーツ)での詳細興収を調べられず。BoxofficeMojo調べのUSドル換算で算出。12月4日以降のデータも不明。
12月9日の東宝発表によると4412.2万バーツ(約1.4億円)に到達している模様。

「君の名は。」中国とタイで日本映画・歴代興収の新記録を樹立! : 映画ニュース - 映画.com

BoxofficeMojo調べ
Your Name (Kimi no na wa.) (2016)

 

ニュージーランド

12月1日公開
初週ランキング7位
初週興収 79,358NZD(約645万円 1NZD=81.3円)

12月23日までの累計興収 143,641NZD(約1169万円)

THE NUMBER調べ
New Zealand Box Office for Your Name (2016)

 

オーストラリア

11月24日公開
初週ランキング9位
初週興収 355919AUD(約3009万円 1UAD=約84.5円)

12月23日までの累計 1,075,783AUD(約9095万円)

THE NUMBER調べ
Australia Box Office for Your Name (2016)



イギリス

11月18日公開
初週ランキング23位
初週興収 27,009(約318万円 1ドル=約117.7円

二週目(11月25-27日)14位
二週目累計興収 255,099USドル(約3004万円 1ドル=約117.7円)

12月18日までの累計興収 466,772USドル(約5496万円)

※12月18日以降のデータは不明。BoxofficeMojo及びTHE NUMBERで調べたものの、両者はUSD表記だが興収に少し差異が見られる。累計はBoxofficeMojoに合わせている。

BoxofficeMojo及びTHE NUMBER調べ
Your Name (Kimi no na wa.) (2016)

United Kingdom Box Office for Your Name (2016)

 

日本


12月25日現在で213.3億円
※日本歴代4位の記録

興行通信社調べ

歴代ランキング - CINEMAランキング通信

 

世界累計興収 (12月25日まで)

318.6億円
USドルに換算すると2.7億USドル(1ドル=約117.7円)




中国の約94.7億円が世界興収を大幅にけん引することとなった。3Dスクリーンのシェアが高い中国で2Dオンリーかつ中国要素無しで100億円に迫る規模のヒットとなったことは革命といえる事態だろう。しかも二週連続1位という快挙まで成し遂げている。
3D版やIMAX上映があれば100億円は軽く超えていただろう。「2Dだけでここまでいける」となれば新海誠監督の次作は中国だけで3D版が公開される可能性は大いにある。

そしてアジア圏では旋風を巻き起こしている。日本、中国、台湾、タイでは初週ランキング1位を獲得し4冠を達成。これは日本アニメが既に受け入れられている土壌があるから成し遂げられたのだろう。

以外にもオーストラリアやイギリスなどでも健闘しているものの、大ヒットとは言えない数字になっている。文字通りの世界的大ヒットを遂げるにはオスカー受賞などのブランド力がなければ難しいのだろうか。

なおシンガポール、インドネシアなどでも公開されているが興収が不明だったので除外している。

『君の名は。』VSハリウッド作品

『君の名は。』は日本を含めた世界興収が318.6億円、USD換算では2.7億USドルとなる。この数値がどのようなものなのか、ハリウッド作品と比較してみよう。

VS『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』


世界興収2.45億USドル
2016年世界興収ランキング29位(12月28日現在)

VS『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』

世界興収2.81億USドル
2016年世界興収ランキング28位

VS『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』

世界興収2.99億USドル
2016年世界興収ランキング27位

『君の名は。』2016年世界興収ランキングで『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』に勝利していることになる。
そしてジョニー・デップ主演作や、ティム・バートン監督作にも肉薄する数字。なんですかこれは。(ただこれは1ドル117.7円という点を考慮する必要がある)

日本のアニメ映画が世界興収ランキングに載る事態になっている。(殆ど日本と中国の成果だが…)
海外ではこれから公開される国もあるため、世界興収はさらに伸びるはずだ。

日本映画でも世界で可能性がある、ということを『君の名は。』が示してくれた。今後の日本映画の動向に目が離せない。

ピコ太郎といい、今年は日本発のエンタメが世界を席巻する年だった。『君の名は。』の世界的なヒットは本当に理解が追いつかない…。

 

『君の名は。』が中国で成し遂げた革命とその意味について

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とんでもない事態になってしまった。日本と中国のみならず、全世界の映画業界に衝撃を与える大事件、いや革命を成し遂げてしまった。

『君の名は。』が中国で爆発的なヒットを記録した。全世界を震撼させた「まさか」の大ヒット。今頃ハリウッドは泡を吹いて気絶しているかもしれない。この大ヒットは世界の映画業界に衝撃を与えただけではなく、おそらく政治も動かしてしまいかねない事態に発展するだろう。ハリウッド以外の外国映画初となる偉業とその意義とは何なのか、ひも解いていきたい。

 

・たった三日間で日本二週目の興収を抜く

『君の名は。』12月2日から中国で公開された。(厳密に12月1日に小規模ながら先行公開されている。2日から中国全土で拡大かつ本公開された形だ。)
初日となる2日だけで7596万元(日本円換算約12.5憶円 1元=約16円計算)という驚異の数値を記録した。日本は公開三日間で12.8憶円の興行収入を記録しているため、たったの一日で日本の初動興行収入と比肩しうる成績を記録した。

そして三日間では2.89億元(約47.6憶円)という驚異の数字になっている。(先行となる1日は223.9万元)

日本では二週目でようやく38億円これでも異例の速さなのだが中国はたった三日間で日本二週目の記録を大幅に上回ったのだ。

 

・IMAX等の特別興行なしで大ヒットを記録

『君の名は。』が凄まじいのは”2D”しか公開されていないにも関わらず、驚異の2.89億元を記録した。
中国では「いまどき2Dのみで公開される映画はヒットしない」といわれている。今年公開となった『ジェイソン・ボーン』は日本や欧米では2Dのみで公開されたが、中国では3D版が公開されているほどだ。

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3DやIMAXなどの特別興行を行えば通常料金から割増となり、それだけで興行収入が増えることになる。(日本では3Dの場合通常料金からプラス400円ほど追加となる)

現在、中国で公開されている『ファンタスティック・ビースト』、『ドクター・ストレンジ』はIMAX3D及び4Dで公開されている。当然、特別興行扱いのため割増料金になっている。その恩恵があり『ファンタスティック・ビースト』は公開三日間で2.83億元、『ドクター・ストレンジ』は3億元の興行収入を記録した。

だが『君の名は。』は特別興行がない。2Dのみで公開されている。にもかかわらず、2.89億元という数字を記録したのだ。2Dだけで特別興行ありのハリウッド大作映画と何食わぬ顔して戦えているのだ。3D人気の高い中国では異常というしかない事態が発生したのだ。

 

・2D映画としては2016年最大のヒットかつ最速で1億元超え

2016年に中国で公開された2D映画の中では最大のヒットとなり、最速で1億元を超えるという勢いを見せつけた。

初日だけで7596万元となり二日目の午前には1億元を超えてしまった。また二日目だけで1億元を超える成績を記録している。デイリーで1億元超えは中国及びハリウッド映画しか成し遂げたことがない。つまりハリウッド以外の外国映画では初となる偉業を成し遂げたのだ。

 

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・中国要素などの小細工なしで大ヒット

現在世界の映画界は資金難などに喘いでいる。そのため確実に製作費を回収するための方法として中国で公開しヒットさせようとしている。これはハリウッドのみならず世界の映画界が主流な動きになりつつある。中国はヒットすれば100億円は堅いといわれる市場に成長しているからだ。

近年のハリウッド映画は中国要素が多いと感じることはないだろうか。直近でも『インデペンデンスデイ・リサージェンス』に中国人女優が出演し、『トランスフォーマー・ロストエイジ』は物語後半が香港に移行している。(悪い言い方だが)露骨な中国要素が登場する作品が増えているのだ。

中国ロケ、中国人俳優の出演、中華街が舞台、など中国の観客にうけるような方策をとる作品が増えている。上映規制を回避するために中国企業と共同制作を行うスタジオも増えている。


すべては中国で確実に公開し、確実にヒットさせるための処置だ。中国で公開し大ヒットすれば製作国で大コケしても製作費回収のみならず収益の目処がつくことがある。13年公開の『パシフィック・リム』は製作国アメリカよりも中国でヒットした。中国でのヒットがなければ続編は存在しなかった。だからこそ、世界は中国を目指すのだ(悪い言い方をすれば「中国に媚びる」のが近年の主流である)

しかし『君の名は。』に中国要素はない。中国吹き替え版が作られたが、これは中国要素とは呼べない。
舞台は日本。東京と飛騨の田舎の住む少年少女が入れ替わる話だ。神事など純和風な場面が登場し、日本しか感じない設定と脚本になっている。物語のどこにも「中国」の「ち」の字も存在しない。

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それなのに大ヒットした。ハリウッドなどの世界中のスタジオが必死になって積み上げてきたコネクションやゴマするような態度をあざ笑うかのように、『君の名は。』は大ヒットを記録してしまったのだ。世界中の苦労はなんだったのかといわんばかりの事件、いや、もはや革命と呼ぶべき出来事なのだ

特に中国へ迎合してきたハリウッドスタジオは真っ青になって泡を吹いて気絶しているかもしれない。それほどまでの革命的事件が起きてしまったのだ。

ちなみにハリウッドスタジオの契約では中国興行収入の4分の1が製作側の取り分になる。日本はどのような契約をしているかは不明だが、仮にハリウッドとおなじ契約をしていた場合はこの三日間の成績だけで11憶円前後が収益として日本に転がり込んでくることになる。

Record Chinaの報道によるとどうやら中国配給の光線伝媒配給権を2000万元(約3億3000万円)ほどで取得したとのこと。買い取り方式のようだ。そのため日本にはこの額しか入ってこない様子。今後中国で公開する作品は、中国興行収入から正当な利益を得られる分配方式の採用を交渉していく必要がありそうだ。

「君の名は。」中国で大人気も、日本はまったくもうからない... - Record China

 
東洋経済の取材によると配給権は買い切り式だが、中国でのヒットに応じて日本側にもボーナスが支払われる契約を交わしているとのことだ
現在の中国では海外映画の利益分配方式が34本に限定されている様子だが、本作を機にボーナス(インセンティブ)契約が増えるかもしれないと東洋経済は予測している。

映画「君の名は。」が中国でも支持される秘訣 | 映画・音楽 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

・ブランド力が無いのに大ヒット

新海誠は日本のアニメファンに知られた存在ではある。中国でもアニメファンの間では名が知られた監督ではある。しかし、一般層には知名度が皆無に等しい。日本でも公開前まで知名度は低い状態だったのだから、異国中国の一般層における知名度は容易に想像できるだろう。

それなのに、中国でも大ヒットした。単純に人口が多いからアニメファンも多いなどという言葉だけでは片づけられない現象だ。WeiboなどのSNSで口コミが拡大し大ヒットにつながったようだ。どうやら日本と同じ現象が起きたらしい。今後も口コミで更に記録を伸ばすことが期待されるが、中国はヒット作でも一カ月ほどで上映が終了してしまうため予想が難しい。


15年公開の『STAND BY ME ドラえもん』は5億元を超える興行収入となったが、これは絶大なブランド力を誇る『ドラえもん』だからこそ成しえた記録だ。だがブランド力がない『君の名は。』はこれを超えると思われる。

 

『君の名は。』は中国で11月25日に公開されたディズニー作品『モアナ』の累計興収を超えている。ディズニーブランドすらも太刀打ちできない状況なのだ。

 

・これは政治を動かしかねない事態

中国は自国映画の保護のために外国映画の年間上映本数が決まっている。今年はその規制本数を上回って公開された作品もある。『君の名は。』もそれに該当する。突如上映日が決定し、大ヒットとなった。

中国で公開された日本映画は大ヒットしていない。比較的人気が高い『ワンピース』や『ナルト(BORUTO)』ですら1億元程度に留まっている。そのため誰もが最終3憶か4億元だろうと予測されていたがそれを覆してしまった。

想定外の大ヒット、そして日本映画という政治的観点からのややこしさもあり、自国映画保護の観点から上映回数が突如として減少し、上映が打ち切られる事態も想定される。

現在、中国はアニメ分野の強化に腐心している。日本にはまだ数多く入ってきていないが、中国産の2D及び3DCGアニメが多数公開されている。国産アニメの強化に努めている最中に日本アニメが大ヒットしてしまったのだ。中国政府にとっては一大事といえる。
本作の大ヒットから中国政府は日本アニメに対する規制をより強めることは十分考えられる。


『君の名は。』は単純なヒット作として片づけることができない。政治的駆け引きを生みかねない大ヒットなのだ。『君の名は。』は日中のみならず世界中の映画、そして政治までもを刺激してしまった。

 

・まとめ

もはや偉業を飛び越え、革命とも呼べる事件だ。世界中の苦労をあざ笑うかのように、嵐を巻き起こしてしまった。いったい何が起きているのか、日本も中国も世界も理解できていない事態が起きたのだ。

これから日本映画の中国進出がさらに加速するだろう。ハリウッドのように中国に迎合した日本映画が出現するかもしれないし、中国企業が日本映画に投資する動きも出てくるはずだ。(投資があるからと言って必ずしも中国要素を盛り込む必要はない。ハリウッド作品でも投資を受けているが中国要素がほとんどない作品も存在している)

このヒットで日本映画の構造が劇的とはいかなくても緩やかに変貌するだろう。内向きだった日本映画が外へ向く動きが出てくるはずだ。海外でも戦える日本映画となれば、中国のみならず世界中からお金が舞い込んでくることになる。海外と組むことで今まで見たことのない規模の日本映画が登場する可能性は十分にあり得る。

これは喜ばしい事態だ。中国で日本アニメの立ち位置を大きく変貌させ、同時に世界中へ日本映画の底力を見せつけた。日本映画も中国でイケるとなれば、今後の日本映画界及び世界映画界のお金の流れなど様々な要素が大きく変貌するはずだ。
また今後は中国の興行収入から利益を得るための交渉も必要となる。


だが、同時にこれは喜べない事態でもある。中国が日本コンテンツをより強く締め付ける動きを生みかねない。政治を刺激してしまったのだ。それを回避するために日本も政治的駆け引きを要求されることになるだろう。

たった一作で世界の映画業界の構図を大きく変貌させてしまった。『君の名は。』は世界中を未知の領域へと引きずり込んだのだ。

これから先、世界の映画界はどうなるのか。下手をすると世界の映画界は『君の名は。』以前と以降で論じられる未来が訪れるかもしれない。それほどの大ヒットを成し遂げてしまったのだ。

これはただのヒットではない。



新海信者だけど『君の名は。』が爆発的にヒットしていて理解が追いつかない…。

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『君の名は。』が大ヒットしているみたい。
2週目で38億円を超えたとか。

新海誠『君の名は。』驚異のハイペースでV2!公開10日で38億円【映画週末興行成績】 - シネマトゥデイ


へえ、38億かすごいなあ…。

38億!?

ちょっとまって、何が起きているの…。
新海作品ですよこれ。オタクには絶大な知名度があるけれど、世間的にはまだ無名の監督なわけじゃないですか。
それなのになぜこんなにヒットしているのかさっぱりわからない。

今年の実写邦画1位のシンゴジラですら61億なんだよ?
なのに『君の名は。』は38億円て。何だこれ。

意味がわからない


前作『言の葉の庭』は1.5億円で終わっているんですよ。それなのに、本作は8日間で27億円っていったい何がどうなっているのか理解が及ばない。
結構前から東宝が宣伝していたと言うこともあるけれど、それだけじゃ説明付かない状況になってる。RADWIMPSが音楽担当とか話題性も十分だったけど、それでも異様な状況になっていますよ。

新海信者として公開前は「細田守は時かけが小規模公開で、その後そこそこの規模で公開されたサマーウォーズが16億円ほどだったから、それに並べば大成功」と思っていたんですよね。
それなのに、予想をはるかに上回る興行収入を見せている。意味がわからない。

あまりの強さに、信者としてどういう反応をすればいいのか。
横綱と戦い、小指をとり「こういうのがおいしいんだよなあ」とか言ってたくせに結局横綱に負けた本部以蔵が「宮本武蔵から皆を護らねばならぬ」とか言い始めてジャックハンマを圧倒した時の感覚に似てる。オイオイオイって感じだわ。

いや、ほんとにめでたいことなんですよ。「皆、新海作品を見て」って願っていたし、それが実現して信者としてはうれしいんですよ。

でもね、いきなりすぎる。いきなり売れすぎてる。

本当についていけない。どうすればいいの?おめでとうって言えばいいのはわかっているけど、それだけで良いのって気がしている。

言の葉の庭で「お、界王拳4倍かな?」っておもっていたら超サイヤ人通り越して超サイヤ人ブルーですよ。一作品で東宝の屋台骨を支える存在になっちゃったんですよ。いきなりすぎやしませんかね。

あまりにも突然すぎて、新海誠が遠くへ行ったとかではなく、このヒットを実感できないんですよ。メジャー化しちゃって寂しいな、って感覚が襲ってくる以前の問題。頭がこの事態を理解できていない。

なんでこんなことになってんだろう。新海監督も東宝も首を傾げるしかない状態なんじゃないのか。

いや、このヒットをひも解ける人がいたら教えてほしい。この事件をひも解いてくれ。

本当についていけない…。

新海が心配


この大ヒット、新海ファンとしてはうれしいんだけど、正直未だに飲みこめてない。
たぶんだけど、新海監督も同じ心境じゃないのかな。実感なさそう。今まで小規模でやってきた人だし、ヒットといっても2億円にも届いてないしね。

それなのに、勝負にでた本作はまさかの2週目で38億円…。
調べたらこの勢いと勝負できるのはスターウォーズ、アナと雪の女王、そしてジブリ、踊る1と2だけという状況になっている。
まさか新海がこの面子と戦う状況になるなんて、誰が予想できたのか。

世間的には無名の監督が放った、突如の大ヒット作。社会現象を巻き起こした監督という事になる。
これは東宝も次回作に期待してしまうことになる。下手すると東宝の中での『新海作品』の最低ラインが100億になってしまうわけだ。

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そんなのむごすぎる。
本人は「あいさつとして」この作品を世に送り出したと言っていた。
オタクの間では知られていたが、世間では無名だからこそ、この作品で知ってもらおうと考えたのだ。
そこそこヒットすればいいかなー、と本人も東宝も思っていたはず。

それなのに、大ヒットだ。例を見ないほどの異常な勢い。最終100億とかでは済まない勢いだ。150億?下手すると200億もあり得る。

空前絶後の大ヒット。
次回はこれを超える作品を東宝も世間も期待してしまう。つまり新海に重圧がのしかかるわけだ。

本当、どうするんだろうか。自分が培った全てをぶち込んで、それでいて自分らしさを失わないという完璧な作品を見せつけた新海は、次回作をどうするんだろうか。
新海誠の集大成である『君の名は。』を超える作品を皆が期待してしまうなんてむごすぎる。

これで世間が新海誠を知った。
ヒットでも20億円ほどにとどまっていれば「今後期待の作家」としてとどまることが出来た。
それなのに、この誰も説明が出来ない大ヒット。期待どころか「東宝の屋台骨と日本アニメーション界の顔」になってしまったんだ。
こんなシンデレラも気絶しそうなサクセスストーリーってありかよ?

本当、どうするんだろう。新海が心配だ。正直、これで引退したほうが身のためだと思うほど。
新海が心配で仕方がない。次回作は本当にどうするんだろう…。