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君は漫画史に残る伝説の打ち切り作品『悪徒-ACT-』を知っているか?

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こんにちは@Sanyontamaです。

週刊少年チャンピオンという雑誌がある。
この漫画雑誌はジャンプやマガジン、サンデーと違って強烈な個性を放つ作品が多い。編集をも裏切る刃牙が代表的だろう。一時期は『聖闘士星矢』の続編と、そのスピンオフ『聖闘士星矢 冥王神話』を同時に連載するという狂気的な体制を取っていることもあった。
ドカベンを含めて野球漫画が3作品も連載されている時期もあった。基本的に何かがおかしい雑誌なのだ。

少年チャンピオンの代名詞と言えば"打ち切り"だろう。人気の出ない作品は容赦なく打ち切る。それはどの雑誌でも同じことなのだが、チャンピオンが特異なのは打ち切ると"単行本を出さない"点だ。
単行本第一巻が発売されたとしよう。その後、人気が出ないと判断されると巻末に追いやられて"突然"打ち切られるのだ。それが試合の途中であってもお構いなしに打ち切る。そして、最終回までを収録した単行本を発売しないのだ。単行本は第一巻で終わる。いつまで待っても単行本が出ないという悪夢に陥るのだ。

こんなことを平気で行うのが少年チャンピオンという雑誌である。ちなみに"面白くなってきたところで打ち切られる"のもチャンピオン作品に良くあることだ。

デザートローズと言う野球漫画があった。
甲子園予選に主人公たちが挑むのだが、その予選で主人公は一度も戦わずに打ち切られた。別の高校が対戦しているのを主人公たちが観戦している所で終わるという唐突な打ち切りに、読者は「またか」とため息をついた。

このように狂気を感じる打ち切りが頻繁に行われるのがチャンピオンだ。コアな読者でも椅子からひっくり返りそうな打ち切りが出現するため、毎週様々な意味で目が離せない。

それは突然に

そんな打ち切りまみれのチャンピオンで歴史に名を刻んだ漫画がある。
『悪徒-ACT-』だ。

親友の死の真相を探る主人公が屠塚学園に転校する。『ACT』に変身できるスカジャンを手にいれ「更生省」という組織との戦いに身を投じるという話だ。
チャンピオン伝統の不良に変身ヒーローの要素を盛り込んだ作品だ。男の娘ヤンキーが登場しており、ジャンプなどでは色々な意味で実現できない要素が多い。

単行本も第二巻まで発売されセンターカラーを飾るなど、順風満帆に見えた。
物語は更生省から送り込まれたex-ACTsと屠塚学園五人衆による"5対5"の最終決戦が始まろうとしていた。
盛り上がる物語に読者は高揚していた。これは目が離せない。翌週から始まる決戦に期待していたのだ。

それは突如訪れた。
翌週、戦いは終わっていた。ちなみにこの週は最終回だった。
最終決戦の詳細は3行のあらすじで解説されただけで終わったのだ。

意味が分からない。

全く持って理解できない。
なんだこれは、何が起きたんだ。なんだ、なんなんだ。一週どころか数週間分は必要だったはずの内容をたった3行の文章でまとめてしまうという、漫画にあってはならない現象に理解が追いつかない。

当然のように最終回までを収録した単行本は発売されない。あまりに意味不明な出来事に訓練されたチャンピオン信者も戸惑う始末だ。
この理解不能な打ち切り劇で信者は悟りを飛び越し、遂に解脱へと至った。

いつ何が起こるか分からないのが週刊少年チャンピオンだ。戦いの途中であろうが、なんであろうが、そこに慈悲は無いのだ。

新人作家のデビュー作であっても打ち切ったら単行本を出さない。新人なのだから記念として最終巻まで出してやればいいのにと思うが、そんな考えは通用しないのだから素晴らしい。
慈悲とは記念とはなにか。人の情に挑戦するのが少年チャンピオンなのだ。

リアルタイムで読めなければ突然の打ち切りを体感できない。これがチャンピオンの魅力でもある。
ライブ感こそがチャンピオンの神髄である。

なお、悪徒-ACT-はエンターブレインから完全版が発売されたが、出版社が違うせいか一部のチャンピオン信者はその存在を知らない様子。
やはりチャンピオンの闇は深い。