LOGのハウス

様々な情報をまとめるメディア

【刃牙】漫画家・板垣恵介の魅力

f:id:Sanyontama:20160308221942j:plain

こんにちは@Sanyontamaです。

その圧倒的な躍動感と破天荒さで長きにわたり人気を維持し続けている刃牙シリーズ。圧倒的な躍動感と予想できぬ展開で多くのファンを引き付けている。連載開始から25年が経過したが、今もなお話題として登場するほどに根強い人気を保ち続けている少年チャンピオンの看板作品だ。
その看板を担う男が「板垣恵介」である。自衛隊の空挺上りという漫画家としては特異の経歴を持ち、ボクシングで国体への出場経験を持つなど名実ともに最強の漫画家だ。

そもそも、板垣恵介氏が漫画家デビューしたのは30歳のころだ。遅咲きの男は漫画の歴史に名を残すことになる。今回は板垣恵介氏にスポットを当て、彼の魅力に迫っていきたい。

戦う漫画家・板垣恵介

高校時代は少林寺拳法、20歳で陸自に入隊し第1空挺団に所属する。30キロの装備を身にまとい3日間眠らずに富士山麓を歩き続けた経験を持つまさに戦う漫画家だ。
空挺時代は自伝漫画としてまとめられており、その過酷さを垣間見ることができる。初期の刃牙でも自衛隊時代の知識を生かした描写が多数登場しており、作品への真実味を増す効果を与えている。

漫画家としては特異とも言える「肉体派」の経歴から、彼は強さへの羨望があるのだと読み取れる。その羨望が刃牙という作品へと落とし込まれ、強さとは男とはという壮大なテーマを作り上げたのだろう。
まさに戦う漫画家がたどり着いた境地である。板垣氏の経歴、そして強さへの羨望無くして刃牙は誕生しなかったのかもしれない。

漫画が動く

やはり特筆すべきは板垣氏の描く絵が内包する「躍動感」だろう。筋肉の描きかたが気持ち悪いという意見もある。私も読むまでは同じ感想を持っていた。だが読み始めていると、圧倒的な躍動感に腰を抜かしてしまった。

バトルは正面や真横から映し出したカットが多用されている。構図的には無駄がなくスッキリとして読みやすい。真横や真正面というのはキャラの動きを正確に詳細に分かりやすく読み取ることが出来る。背景も書き込まずキャラの動きだけを描くという構図は頭にスッと入ってくる。パンチがどのように動き命中していくのかが詳しく読み取れてしまい、頭が勝手にコマとコマの間にあるはずの動きを補完してしまい、絵なのに動いているような印象を与えてくるのだ。

f:id:Sanyontama:20160308221427p:plain


ただ板垣氏の絵には問題がある。
それはデッサンや遠近感が狂っているという事だ。キャラの手足は異様に長いし、キャラクター同士が対峙した時は奥にいる人間の方が巨大に表現されていたりもする。
これらは美術的な観点から見ると明らかに狂っている。しかし、異様な表現こそが刃牙に内包される躍動感を生み出しているのだ。
手足が長いことはスピード感を生み、遠近感の狂いはキャラ同士の強弱を表現する。
板垣恵介は美術的な正しさを全て捨て去ることで、類を見ない躍動感を手に入れることを選んだのだ。
キャラクターが動いているように錯覚する躍動感こそが板垣氏の描く「絵」の魅力だ。

漫画界のアンチェイン

板垣恵介氏は読者も裏切り編集も裏切る男である。「ネットで作品展開が予想されたら、無理やりにでも展開を書き換えて読者の予想を裏切る」などと噂されているが、刃牙にはその片鱗が見え隠れしている。

予想を裏切るあまり作品展開が迷走した形跡が残っている。予想を裏切るというサプライズ的な精神を持っていることの裏返しだろう。漫画というエンターテインメントを作者自身が実践しているのだ。予想できない展開こそが刃牙の魅力である。次はどんなことを仕掛けているんだ、とワクワクさせられてしまうのも板垣マジックなのかもしれない。
刃牙道で本部以蔵が強すぎるのも、読者のうちにある「本部はザコ」との先入観を利用した展開なのだ。あの、本部が、まさか本部が、と読者がざわつくはずだと仕掛けてきたわけだ。読者は板垣氏の掌で踊らされている。
予想と期待を全て裏切り、読者が離れようともお構いなし。孤高を往く戦う漫画家、それが板垣恵介だ。

板垣氏は読者だけではなく編集をも裏切っている。
刃牙の連載に置いて担当編集者が「先生打ち合わせと違うじゃないですか~」との狂気じみた煽り文を何度か掲載している。

f:id:Sanyontama:20160308220549j:plain

読者だけではなく編集すら裏切ってしまう。何事にも縛られない。お約束、既成概念、そんなものは俺にとっては無意味だ、と言わんばかりの破天荒さ。
一挙手一投足が予想できない。何を考えているのかがさっぱり分からない。
まさに漫画界のアンチェインといえる存在だ。板垣恵介とは日本漫画を破壊する巨強なのである。読者、編集の反応は彼にとって餌でしかないのだ。



そんな板垣氏は現在も少年チャンピオンで刃牙道を連載している。週刊漫画ゴラクでも謝男を不定期で連載中だ。
板垣氏が仕掛ける全く予想できない展開と意味不明な内容。読めば漫画の既成概念を破壊されること間違いなしだ。