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『UFO学園の秘密』を見たからレビューするぞ!

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 なぜこのような作品を観に行ってしまったのか。映画館は完全にアウェイであり、スポーツ選手の心情を理解できる貴重な体験となった。
 とは言ったものの、実は幸福の科学映画を見に行くのは二度目であったりする。二度目でもやはり慣れないものだ。

 ネタバレを含みます。

  全寮制のナスカ学園で様々な怪異が発生する。探検創造科の高校生5人が怪異を調査していき、その裏で暗躍する宇宙人の存在に気付いてゆくという話だ。
 学校と宇宙人が組み合わさった題材はパラサイトが有名だろうか。ねらわれた学園やID4などのSF作品から引用したと思しき設定やシーンも散見され、SFを作ろうとする気概は感じられた。メーテルみたいなキャラも出ていましてね・・・。
 
 ただ、物語とそれに追随する用語の数々が年末超常現象特番や矢○純一UFOスペシャル、某超有名月刊オカルト誌を連想させてくる。あまりにも古すぎる擁護ばかりで震えが止まらなくなる始末だ。
 グレイという単語が登場した瞬間に第一の衝撃波が襲ってくる。その後はプレアデス星やウンモ星人などが登場し、椅子からずり落ちそうになってしまった。
 設定用語の数々が2015年とは思えない、昭和を思わせるものばかりなのだ。
 2015年にもなってこんな単語を「映画館」という場所で聞くとは思わなかった。予想外の設定に終始半笑いで鑑賞する羽目になった。

 さて、問題の物語だが非常に淡々としている。地球を侵略しようとする宇宙人レプタリアンと、地球を見守る惑星連合、そして地球のナスカ学園がレプタリアンの魔手から地球を守るの・・・。だがその目を見張るぶっ飛んだバトルは終盤の終盤までオア付けになる。そのため前半は非常に淡々と謎解きを行っていくだけだ。その最中に学園の規則や、宇宙人の説明などが行われるのでセリフが本当に多い。
 この宇宙には様々な種族が存在しており、他の種族に友好的な種族と、そうではない獰猛な種族に分かれている設定だ。だからその説明を行う必要があり、必然的にセリフが多くなっている。
 だらだらと会話が飛び交うシーンは非常に退屈だ。演出も平凡であるから、声のついた一枚絵を見せられている感覚に陥る。特に主人公のレイがヤギ型宇宙人のUFOに乗船してからは、怒涛の説明セリフラッシュが開始されるので、ここで睡魔に打ち勝てるかが試される。
 セリフはもう少し凝縮しようがあったはずだ。演出もやり方はあったはずだ。アニメーションは細かな描写、キャラクターの表情や仕草、服の動きまでも緻密に表現しているのだから、演出にもこだわって欲しかった。

 脚本構成は非常に危うい。そもそも宗教法人が制作するアニメ映画であるがゆえに、テーマとして霊界や魂という物への問いかけがある。そのためUFO話から霊界や魂という話に無理やりつなげようとしている。
 地球が惑星連合の仲間入りできるか否かとの話がある横で、霊界や魂、それに輪廻という要素が同居しているという歪な構成になっている。
 宗教的側面に無理やり繋げるて残念な気持ちにさせるのならば、最初から宇宙世界の神秘を説くことに一貫したほうが良かったのでは。

 物語の中盤で惑星ベガなる場所を訪れた5人の高校生はそこで本当の自分とは何かと自問自答する場面がある。ここはセリフだらけなのだが、なぜか演出にかなりこだわっていた。これまでが嘘かのように、キャラクターの心情が変化してゆくと映像も同調して変化してゆき、奇怪のほどのファンタジックさを印象付ける。適当に絵を動かしていた会話シーンとは大きく異なる気合の入りっぷり。宇宙人との対決よりも、この問答が主題だったのかと思えるほどだ。
 この問答で少年少女は自分のやりたいことを見出す。教師になりたい、映画を撮りたいといった現実的な希望が語られる中で一人の少女が「宗教を学びたい」と言い出すおかげで、突如現実に揺り戻される。
「ああ、そっか、宗教映画だったか・・・」と残念な気分に陥るのはなぜだろう。

 このベガでの問答から話は加速していく。
 悪の宇宙人レプタリアンと地球人が戦闘を開始していく。その戦いの場には惑星連合からやってきた、どうみてもメーテルさんにしか見えないキャラクターがやってくるものの「地球が終わる~」というだけで何もしない。地球人の力を試しているのだろうけど、アホキャラにしか見えなかった。

 レプタリアンが街一つを裏宇宙に消し飛ばしたり、主人公の一人が突然に真の自分に目覚めレプタリアンと肉弾で戦う様は必見。真の姿が惑星ベガでみた猿の巨像にそっくりなのだから、何が何だか理解ができない。一人の高校生が目覚めた力でレプタリアンの大群と戦う様はハルクも真っ青だろう。
 これまでの淡々とした作風を綺麗さっぱりに消し飛ばしてゆくスペクタクルは相変わらず見事だ。
 しかし最終的には信仰の力で撃退してしまうあたり、やはり宗教映画なのだと認識させられる。
 
 宗教的側面が無くても十分成り立った作品であるため非常に惜しい。教義などを無視してSFスペクタクルに走ってみるのも良かったと思えるが・・・。
 終盤の説法ラッシュは見もの。1億年前に地球にやってきた宇宙人まで信仰を語るのだから、自然と合掌したくなるわけだ。
 黄金の光り輝く空間で少年少女が語り合う様は本当に神秘そのものだ。仏陀再誕でもラストは黄金時代だったが、黄金シーンが必須という規約でもあったのだろうか。とにかく輝く。まぶしいほどに輝く。神秘性を感じろ! と言わんばかりの輝きっぷりだ。

 やはり魅力は突っ込みどころの多さだ。
 背景に教義や思想が書かれたポスターや文面が存在していたり、ウンモ星人がこれまでの常識を覆すハチのような巨大昆虫だ。銀河万丈演じるレプタリアンの演技は至高であるが、レプタリアンのビジュアルはずっこけるほどの弱弱しさであったり、プレアデス星で5人の高校生が着用する衣装がやけにかっこよくて美しいものであったり、声優陣の演技は妥協を一切感じさせない。
 しかしモブキャラは素人声優だらけ。棒読み演技が凄まじく、モブが発音するごとに現実に揺り戻されてしまう。資金力はあるのだから隅から隅まで声優を起用することが出来たはず。それなのになぜ素人なのか。

 一番目を見張ったのは探検創造科の課題としてUFOと宇宙人の実在に関する書物を調べているのに、画面に映る書物には「核ミサイルが日本を狙っている」という文章が書かれていた。一体何を調べているのかと感じつつ、さりげなく小ネタをブッ込んでくるのには期待していた面もあり満足した。
月の裏側まで登場し、ポスターには「ダークサイドムーン」と書かれているあたり、某ロボット映画の影響を感じずにはいられない。
 エンドロールも目が離せない。協賛企業の多さにはめまいがするほどである。最後まで目が離せない仕様には参る。
 突っ込みどころは枚挙に暇がないほどだから、ぜひペンとメモを持ち鑑賞するといいだろう。

 だが、やはり物足りない。仏陀再誕を見たときのように、突如襲い掛かるスペクタクル感に欠如している。
 念動力で大津波を発生させた荒井のおじいさまに比べると、地球を侵略しに来た宇宙人というのはありきたりすぎて強大さを感じない。
 トンデモ感の欠如が本作を平凡だと感じる原因だろう。ちゃぶ台返しのようなスペクタクル感を体験したかったのだ・・・。
 主題かも悟りにチャレンジのようなインパクトはなく、合唱曲だったのも残念な点。
 
 なにより、幸福の科学アニメ映画の常連だった子安武人が出演していないことが大きなマイナスだ。