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全てを解き放て!『Netflix 』は日本のコンテンツを変革させるのか?

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Netflixでしか見られない作品がある。そう知ったとき、あなたはどうするのだろうか。
いつでもどこでも、視聴可能なのがオンデマンド配信である。既存の作品だけではなく、そこでしか見られない「オリジナル」作品を生み出すのがNetflix(ネットフリックス)の特徴だ。

遂に日本でもサービスが開始されたため早速登録した。料金もお手ごろ。お目当てはMCUの一篇である「デアデビル」だ。
事前に周知していたわけではないがTwitterのタイムラインに流れてきたので「マルコポーロ」も鑑賞してみた。
鑑賞してみた感想を率直に言うと腰を抜かした。テレビと同質かそれ以上の作品がそこにはあったのだ。革命が起きたと感じた。
消費行動が大幅に変わるのもうなずける。それほどの価値があった。
テレビどころか映画に比肩しうるハイクオリティな作品を生み出すNetflix。今後は日本オリジナルコンテンツを増やしていくというのだ。
高品質のオリジナルコンテンツを生み出すNetflixは、日本のコンテンツに革命を与える気がしてならない。
Netflixを取り巻く実情には詳しくないが、個人的な見解を述べていきたい。

自由の国


この記事を書くにあたり様々なインタビュー記事を読み漁ってみた。
Netflix の特徴として見えてきたのが「自由」である。

Netflix は連続ドラマを1シーズン全話を一気に配信するという特徴を持っている。
デアデビルもウォシャウスキー姉弟が製作したSence8も、日本でのサービス開始と同時に全話を配信している。
このようなドラマの一挙配信はテレビ放送での実現はできなかった。テレビは放送時間が決まっている。次の話を見るには来週まで待つ必要がある。
日本だとケーブルテレビや特定時期の再放送で一挙放送が行われることがある。しかし、テレビ局がよほどの力を入れないと1シーズンを全話一挙放送することは不可能だ。
一挙放送と銘打っていても、1日に3話を放送し4日間に分けるといった措置が取られている。テレビ放送だと放送スケジュールが決まっているから、時間が来れば次の番組にバトンタッチする必要があるからだ。テレビは制約に縛られているのだ。

オンデマンド配信であれば、この縛りからも解放される。
いつでもどこでも「自由」な時間に鑑賞できる。
テレビ放送のようにCMを見計らってトイレに行く必要もないのだ。再生も停止も思うがまま。その自由さがオンデマンド配信の全般の特徴だ。

いつでもどこでも好きな時間に、再生停止も思うがまま。これはオンデマンド配信における基本である。
Netflixは他のサービスとは違い、読み込みも早いために、ストレスを感じることなく鑑賞できる。

Netflixの特徴として特筆すべきなのは「オリジナルコンテンツ」への姿勢だろう。
Netflixはオリジナルコンテンツを製作する際、クリエイターへの口出しは一切行わないのだ
クリエイターを信用し全てを委ねる。ドラマの話数も放送時間も自由自在なのだ。
全話完成してから配信するスタイルをとっているらしく、テレビ放送のように「打ち切り」が存在しないのである。プロダクトプレイスメントを除けば基本的にスポンサーも必要がない。スポンサーへ配慮する必要すらなくなる。クリエイターの意図した全てを描くことができるという有利さを持ち合せているのだ
つまり、テレビ放送という制約下で付きまとっていた「ストレス」から解放されるのだ。
視聴者もクリエイターもストレスフリーで作品に没頭することができる。
それがNetflix の驚異的な特徴だ。

自由による変革


Netflix は「ハウス・オブ・カード」に1億ドルの製作費をかけた。これはエミー賞を受賞し、ネットドラマを超えた衝撃を与えるに至った。
成功のカギは「製作に口出しをしない」という点だろう。視聴率に左右されることなく、1話から最終話までをブレることなく製作できる。意図した全てを出し切ることができるからこそ、高品質な作品を生み出すに至ったと思える。
それが功を奏し、エミー賞受賞につながったのだろう。これはテレビドラマを揺るがす象徴的な事例である。
「ハウス・オブ・カード」はNetflixが資金を提供し、Netflixで初お披露目された。厳密には「一から企画し製作」したというわけではない。それでも、既存の映像メディアに与えた衝撃は計り知れない。

そして世界中で配信されるという点にも注目したい。
Netflixは「テレビになり変わる」という野望が見え隠れしている。テレビの客をいかに引き込めるか。これを主軸にしているはずだと考える。
世界中には様々な映像コンテンツであふれている。高品質なコンテンツも多数存在している。
既存の映像メディアから視聴者を引き込むにはテレビから話題を奪うほどの「高品質なコンテンツ」が必要になるはずだ。
数多あるコンテンツから存在感を放つには「価値」が必要だ。「ハウス・オブ・カード」ではデヴィッド・フィンチャー製作でケヴィン・スペイシー主演だ。これだけで見たいと思える人は大勢いるだろう。これが「価値」である。そこにエミー賞受賞という強大な「付加価値」が生まれた。これにより興味がない人の注目を得ることができるのだ。
話題性と注目度、そして作品の質。これら絡ませることが難解な要素を全て有する作品が生まれている。テレビから客を奪うには十分すぎるほどの要素だろう。

アメリカはハリウッド映画が世界中で上映されているために、世界展開という点においては抜きんでている事実がある。
だが、これからは世界各国のコンテンツが容易に世界配信される時代が到来したと見てよいだろう。
テレビとの勝負、そして世界配信されるコンテンツとの勝負。それらに勝利するためには必然的に高品質なコンテンツ作りを迫られることになる。
世界中で配信されるからこそ、世界に出しても恥ずかしくない、誰が見ても面白いと思える作品作りを行う必要がある。

個人的な主観だが、日本はコンテンツの世界展開に後れをとっているように見える。
中国がハリウッドと組み存在感を放ち、韓国はアジア圏で一定の成功を収めている。インドもボリウッド映画が世界的に一定層の支持を得ている。そのような情勢下で日本は出遅れているように思えてならないのだ。

その状況下でNetflixという黒船が来航した。
黒船は「オリジナルコンテンツ」で成功を収めているのである。
確かな実力を引っ提げて日本に上陸してきた彼らは日本オリジナルコンテンツを作り「世界に配信」すると宣言した。
フジテレビと組んだオリジナルコンテンツの「テラスハウス」は既に世界配信が決定している。
今までは様々な制約があり日本のクリエイターを尻込みさせていた「世界展開」が容易に行える時代が来たのだ。Netflixは各言語の字幕はもちろん、吹き替えまでもを用意する場合がある。
配信中のデアデビル、マルコポーロなどのオリジナルドラマは日本語字幕と吹き替えが付き、全話が一挙に配信されているのだ。

来年は50億ドルをコンテンツ制作に投入すると宣言している。その内の幾らかが日本に投入されることだろう。
ドラマやアニメに何億という予算を投入する可能性は十分にあり得る。
クリエイターに自由な創造性と、それを叶えられるだけの資金を提供し世界展開の手助けをも行う。
お金の流れすら大きく変化させるだろう。何を仕出かすか分からない。いきなり超大作を公開してくる未来もあり得る。クリエイターにも視聴者にも夢を与える。まさにNetflixは革命児と言えるだろう。

すでに日本でオリジナルアニメ制作に向けてアニメ業界と話し合いが行われているようだ。又吉氏の「火花」がNetflixでドラマ化するように、もしかすると有名漫画のアニメ版が製作されNetflix独占配信になるかも知れない。
製作委員会に参画して独占配信権を得る動きを見せるかもしれない。
可能性は無限大だ。

既に「シドニアの騎士」がNetflixによる世界独占配信により一定の成功をおさめたのだ。
放送時間も自由自在に決定できるNetflixでは、テレビで成しえなかった新たな物語を生み出せる。CM込みで1話30分という制約を無視して、原作ものなら原作に忠実な作品を作ることができるだろうし、今まではOVA形式で発表されたアニメがNetflixで発表されるかもしれない。

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世界中の良質なコンテンツに打ち勝つには、高品質なコンテンツづくりを迫られる。今までのように日本国内のアニメファンに向けた作品作りでは、世界のコンテンツに打ち勝つことは不可能だ。これはドラマやバラエティーにも当てはまる。
つまり、今までにない規模の作品が飛び出してくるはずなのだ。

これまで世界展開を行うにはアメリカ企業と提携を行ったり、クランチロールでの配信などを行う必要があった。日本放送から配信の時差は縮まりつつあるが、それでも世界同時配信とは言い難い状況だ。
しかし、Netflixなら完璧な世界同時配信の実現を叶えてくれる可能性がある。
全世界の人たちが鑑賞し、同時にTwitterやFacebookに感想を書き込んでいる。即座に海外ファンと意見交換が可能になる・・・。消費者の行動をも変貌させる可能性すら持ち合せている。
何が起きてもおかしくはない「可能性」に満ちているのだ。

放送形態や作品の質のみならず、過酷な労働環境にアニメ業界を変革する可能性も秘めている。
アニメ制作に資金を提供することで、広告代理店などによる「中抜き」も発生せずに末端まで資金が行き渡り、アニメーターが正当な報酬を得る時代がようやく訪れるかもしれない。
一挙配信型ならば、納期にゆとりを持ち制作することが実現できる可能性もあるその自由さこそが柔軟な発想を生み、今までに見たこともない作品を出現させるに至るはずだ
Netflixは独占配信権を得ることができれば、後は十分な資金を提供して自由に作品を作らせるスタンスである。

これまでの資金の流れも大きく変貌するはずだ。アニメだけではなくドラマも映画も、既存の制作体制がすべてがひっくり返るかもしれないのだ。
もはやDVDやブルーレイがどれほど売れたかという議論も無意味になるだろう。資金の流れが変われば、わざわざホームメディアを販売する必要もなくなるように思えるからだ。
日本オリジナルコンテンツに注力すると宣言しているからこそ、何が起きるか、何を仕掛けるのか分からない。

今までのような発想と想像力では取り残されてしまう時代がすでに到来したことだけは事実だ。
配信中のマルコポーロはモンゴル帝国とヨーロッパを描いた歴史ドラマだ。これはマレーシアのパインウッドスタジオで撮影されアジア系俳優が多数出演している。世界で一挙に配信されるからこそ国際色豊かな作品が生まれる。技術や撮影インフラをもマレーシアにもたらした。
このような大規模なドラマは日本でも登場する可能性が十分にあり得る。戦国時代や江戸時代を舞台にしたNetflixオリジナルの歴史大作ドラマが制作されてもおかしくはない。サムライやニンジャは世界的にも未だに人気がある。近年ではウルヴァリンSAMURAIにおいてサムライとニンジャがフューチャーされた実例がある。
大規模な予算をかけて日本で制作するとなれば、日本が立ち遅れてきた技術や撮影インフラなども整備されるだろう。新たな才能が続々と発掘されるかもしれない。
既存の枠にとらわれない創造(想像)力が必要だと言える。

日本の俳優やクリエイターはこれまで以上の多様性を求められる事になる。日本だけでヒットを狙うという時代が過去に帰しと言ってもいいだろう。
これからはより柔軟に、世界をとらえた作品作りを求められる。
日本のエンターテイメントに新時代が到来したのだ。

まとめ


Netflixを取り巻く実情がどうなっているのかは不明であり、憶測で考察するしかないというのが実情だ。
しかし、様々なオリジナルコンテンツを生み出しているNetflixは何をしてもおかしくはない。そう思わせるだけの実力と実績を持っているからだ。
日本では有料方法加入者が諸外国に比べると少ない。そのような国に有料配信サービス最大手のNetflixが「アジア初上陸」を果たした。よほどの自信と戦略を持っていることが推測できるのである。
日本はブロードバンド回線は世界的に見ても高速だ。すでに視聴インフラは整っている。
ケーブルテレビに代表される既存の有料放送との差別化を計るには、オリジナルコンテンツが必要不可欠となる。ここでしか見られないという「限定要素」は購買意欲に大きくかかわる。
第一弾としてテラスハウスとアンダーウェアが配信された。すでにテラスハウスは様々な意味で話題を呼んでいる。この2作品と「火花」は加入促進というよりもNetflixの名を浸透させる「宣伝」の意味合いが強い様に感じられる。

つまり、今すぐに日本のコンテンツ業界が変貌することはない。だが、いずれは大きな変化が訪れるはずだ。
日本国内しか見ていないクリエイターはどうなるのだろうか。恐らく取り残され、時代に追いつけなくなるはずだ。

来年は50億ドルをコンテンツ制作に投入すると宣言した。
その内の幾らかは確実に「日本」へとやってくるはずだ。お金の動きも、クリエイターの概念をも大きく変革させる。数年足らず、もしかすると来年の今頃には日本のコンテンツ業界が掻き回されて、とてつもない変化を遂げているかもしれない。

これからのNetflixは日本オリジナルコンテンツ攻勢を仕掛けてくるのは確実である。その中から見たこともない独創性に富んだ作品が生まれてくるだろう。実写、アニメ問わず、これまでの制作及び視聴スタイルを覆しかねない未来がすぐそこに来ているのだ。

Netflixの日本オリジナルアニメは如何なるものになるのか。既存のテレビ局や制作会社はどう動いていくのか。目が離せない事だけは確実だ。

 

さよたま (@Sanyontama) |

 



参考

映像配信の黒船Netflixがついに始動! 同社CEO「来年は50億ドルをコンテンツにかける」と豪快に語る | 映画/DVD/海外ドラマ | MOVIE Collection [ムビコレ]

【インタビュー】米NetflixのCEOが4K/HDRコンテンツや日本展開のビジョンを語る - Phile-web

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