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なぜ『STAND BY MEドラえもん』は中国でヒットしたのか?中国でのドラえもん人気を探る

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日本では83.8億円のヒットを記録し、中国では約105億円を記録し中国での人気を見せつけた「ドラえもん」
なぜドラえもんは中国でヒットしたのか、考察していきたい。

「STAND BY ME ドラえもん」中国最終興収105億円 : 映画ニュース - 映画.com


日本人ならドラえもんと聞けばあの青い狸「猫型ロボット」の姿を思い出せるほどに浸透した国民的スターである。
中国では日本映画として3年ぶりに劇場公開されたのが「STAND BY MEドラえもん」である。
週末だけで17億円を記録し中国におけるアニメーション映画の初動記録を打ち立てるほどだ。最終的には約105億円に到達。日本を大きく上回るヒットを記録した。
円安という背景もあるが、ドルベースでみても中国が上である。
日本は7900万ドルに対し、中国は8692万ドルである。Stand by Me Doraemon


アジア圏において絶大な人気を誇っているドラえもん。
単行本の海賊版が出回り、かなりの部数を売り上げていたり、タイではドラえもんだらけの寺院が存在するほどだ。
700年の歴史ある寺で「ドラえもん」が発見される | ロケットニュース24
余談だがスペインでは食品メーカーとタイアップするなど、アジア圏以外でも人気を見せている。


・中国におけるドラえもんの存在


そんなドラえもんだが、中国での人気は絶大だという。
1989年からテレビ放送され、今日にまで続く人気を獲得した。
中国のファンや識者の意見を読み解くと「一人っ子政策」が人気獲得に貢献したという記述が目立つ。

一人っ子政策は1979年から始まった。人口増加を抑制するための政策である。
それ以降に生まれた人は政策により必然的「一人っ子」になるわけだ。その世代の親はほとんどが共働きだという。それ故に、一緒に遊んでくれる兄弟や姉妹がいないわけであり、孤独を埋めてくれるのがドラえもんというアニメであったというのだ。

なぜ「ドラえもん」は中国人の心を動かすのか | アジア | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト


主人公ののび太は奇しくも一人っ子である。そこにドラえもんが現れてのび太を助けていく。
ドラえもんの秘密道具で夢をかなえて困難を乗り越えていける。
一人っ子だからこそ、親に相談できない悩みを抱えてもドラえもんが助けてくれるのだ。
のび太の友人たちも現実に当てはめようと思えば可能な人間たちばかりだ。
のび太は少年少女の写し鏡として存在したのだろう。

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一人っ子の元に現れたスーパーヒーロードラえもんが難題を解決してくれる。現実にドラえもんが居ればと願っただろうし、それが子どもたちを画面に熱中させる原動力になったと考えられる。
時には秘密道具で好き放題をしすぎてのび太がしっぺ返しを受けるなど、見方によっては教育的とも取れる場面もあり、日本人同様に中国人もドラえもんで様々な物ごとを学んでいったのだろう。
一人っ子の孤独を埋めたのがドラえもんなのだ。だからこそ、思いれが強く、今日まで続く人気を得たのだろう。


・頻発するイベントとコラボレーション


1989年から放送されたドラえもん。この年に生まれた人もすでに26歳である。社会に出て働いている年齢である。一人っ子政策が開始された1979年生まれの場合は36歳であり、子どもがいてもおかしくはない年齢だ。
大人になり、家族を持った親たちの心にもドラえもんがいたのだろう。

ドラえもん直撃世代が「お金」を持つようになり、イベントや中国企業とのコラボが行われている。

 100のドラえもんが集合、初日から大人気 - 中国国際放送局
こちらは「ドラえもんの秘密道具展」である。北京では初日だけで2万人が来場したというのだから、その人気が伺えるという物である。2013年には上海でも開催された。
人の行き来が激しいショッピングモールでの開催となった「秘密道具展」だ。ドラえもんをあまり知らない世代でも、このイベントを目にしたおかげでドラえもんという存在を正確に認知したのではないだろうか。


もうすぐ現実に!? ドラえもんがタオバオと手を組んで、22世紀の宇宙オンラインストア創出 | IoTニュース:IoT NEWS
ハリウッド映画にも出資するアリババグループのタオバオがドラえもんとコラボする。世界進出を加速させる中国儀行とコラボが行われている。これが良くわからない作品であれば、コラボは実現しなかっただろうし、ドラえもんの人気と知名度がここでもうかがえるのだ。

バイドゥ、中国人旅行者向け“ドラえもん”SIM発売――テレビ朝日のイベントと連携、クーポンも同梱 - ITmedia Mobile
訪日中国人観光客向けのコラボもある。ドラえもんだからこそなせる技だろう。

このように、ドラえもんであれば集客が望めるし話題にもなるということが中国でも常識的事項として扱われていることが分かる。


日本の洋画宣伝で芸能人を起用して露出度を高めようとするように、中国企業もドラえもんで露出度を高め、同時にドラえもん側も中国企業とのコラボで露出度を高め知名度の獲得を行っているのだ。
様々なイベントやコラボレーションを行うことで、ドラえもんをより多くの人へ認知させることに繋がっている。
中国企業もドラえもんも利害が一致しているという結果が生まれている。


・親から子へ


孤独を埋めてくれたドラえもんが大々的に中国全土で公開される。今までもドラえもん映画が公開されてきたが宣伝不足で大きなヒットにはならなかったようだ。
今回はかなり力を入れてプロモーションを行ってきた。

ハンギョンが“のび太”になった!「STAND BY ME ドラえもん」中国版の吹き替えに挑戦 - MOVIE - 韓流・韓国芸能ニュースはKstyle
韓国のアイドルグループに所属していた中国人俳優が大人ののび太を演じる。そのほかにも中国の人気女優が声優を務めた。このことから今回の本気度が伝わってくる。

STAND BY MEドラえもんは「ドラえもんとの出会いから別れ」を描く。日本の春に公開される映画とは違い、大冒険はない。
のび太の結婚などが盛り込まれており、大人になった「ドラえもんと共に育った世代」の感情を揺さぶったのだろう。
一人っ子だからこそ、しずかが父に別れを告げる場面が嫌というほどに伝わってくる。ドラえもんと出会い、結婚をし、そして分かれていくという物語は大人だから理解できる部分が多いのかもしれない。

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ヒット要因は物語だけではない。
ドラえもんは子どもも安心して見られる作品だと理解しているのはドラえもんを見て育った親たちだ。
公開前後はちょうど中国におけるこどもの日が存在していた。だから、子どもを連れてドラえもんを見ようと考える親が多かったのだろう。
過激な暴力シーンはなく、子どもに害を与えることがない。だからこそ安心して鑑賞できるのがドラえもんだ。

家族で見に行けば3人分の料金が加算される。大人2人に子ども1人の料金だ。祖父母まで巻き込めば5人分の料金となる。
つまり、日本でも同じことだが家族で安心して鑑賞できる作品は大ヒットに繋がりやすいのだ。
日本でもドラえもんならば安心と親が子を引き連れて劇場へ足を運ぶ光景はよく見られる。
中国でも同じ現象が発生しているのだ。
ドラえもんだからこその安心感が中国でも根付いているのである。


・ドラえもんを嫌う人っているの?


中国でSTAND BY MEドラえもんを見た人に話を伺ったが「ドラえもんを嫌う人がいるはずがない」という非常にわかりやすい返答をいただいた。
20代30代の心にはドラえもんが存在していて、それを嫌う理由が思いつかないというのは納得できる。そういった世代が子を連れて映画館に行くことで、今回の大ヒットへとつながったのだろう。

つまり、中国でドラえもんがヒットした理由は日本人と同じなのだ。
幼少期にドラえもんをみて育ち、未だにアニメが放送され、企業とのコラボやイベントで過去を思い出す。ノスタルジックな感覚に浸るのだ。そして、映画が公開される。中国の映画市場は急速に拡大しており、その中での公開となった。
娯楽に打ち込める余裕が出てきたのだ。比較的お金を持った世代は幼少期にドラえもんを見た。その世代には子がいる。だからこそ、家族でドラえもんを見ようと思う。ドラえもんならば家族で安心して鑑賞できることを知っているからだ。
自分と重ね合わせることができる物語内容もヒット要因の一部だ。結婚に関することは子よりも親世代が良く理解しているはずだからである。
子どもも楽しめて大人も楽しめる物語構成だからこそ、日本と同様に中国でもヒットしたのだ。

ドラえもんに対する姿勢は日本も中国も変わらないということなのだ。
20代30代の大多数はドラえもんが好きで、だからドラえもんも見ようと考える。
ドラえもんこそ、アジアのスーパーヒーローその人なのである。

結局、皆ドラえもんが大好きというわけである。

 


中国オリジナル追加シーンという「のび太がQQ(中国のLINEのようなサービス)を使用する場面」は存在したのだろうか?QQペンギンは出てこなかったという話を聞いたが、果たして・・・。

 

 

さよたま (@Sanyontama) | Twitter