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『芸能人』が声優に起用されるのは理由は単純明白だ

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日本における洋画興行でもはや風物詩と化した「芸能人吹き替え」

吹き替え初挑戦の芸能人が発表されると「またか」とあきらめている人も多いはずだ。

どうあがいても我々の声は届かないのだと無力感すら湧いてくる始末である。

「やめろ」という声も多い。理由としては「下手」だと感じるからだろう。中には上手い人もいるが「棒読み」に聞こえる人が多いのも事実だ。

 

そのような状況下で、このような話題が飛び出してきた。

news.livedoor.com

長谷川アナウンサーによる芸能人吹き替えへの疑問である。

ジュラシックワールドの主演俳優は某俳優により吹き替えされている。それを見てこう思ったようだ。

「声だけの」演技があまりにもできていないのです。いつものままの彼の声なのです。抑揚も、チェンジオブペースも、声の技術はいくつもあります。
でも、私が聞く限り、一つも効果的に使えていませんでした。ただのいつもの彼のままでした。

http://news.livedoor.com/article/detail/10471782/

そして、声の世界はプロ中のプロがうごめき、視聴者もその技術になれているから安易に踏み入れて良い世界ではないとも語っている。

 

良く理解できる内容だ。プロの世界なのだからプロを使えという至極当然な意見でしかない。

私もジュラシックワールドは吹き替えと字幕の両方を鑑賞した。吹き替えは比較的マシな方だと思えた。言われるほど「酷い」と感じることはなかったが、ただいつも通りの某俳優ボイスだったので、やはりそこが気になった。

 

本題である芸能人による声優活動がなぜ減らないのかという話だ。

最近では洋画吹き替えのみならず劇場アニメでも芸能人による声優挑戦が行われている。

その都度、ネットでは阿鼻叫喚の嵐になってしまうという流れが様式美と言えるほどに定着してしまった。

 

禍根ばかりを残しているように思える芸能人による声優活動であるが、いつまでたっても減少しないのか。

それに答える記事が存在していたので紹介したい。

news.livedoor.com

今の宣伝に重要なのは「テレビ」と「WEB」で、取り上げてもらうためのカギとなるのが「日本語吹き替え版」のキャスティングだという。「あの人が声をあ てているから」という目的での動員増加もひとつだが、「吹き替えキャスト決定」「アフレコ開始」「メイキング公開」「完成記者発表」など小刻みに告知を打 てるというメリットがある。

http://news.livedoor.com/article/detail/10465941/

ミニオンズはWEBとテレビでの話題性を主軸に吹き替えキャストを決定したと書かれている。

女優を筆頭に芸人なども起用してテレビでの話題性を狙う。人気声優や歌手を起用してネットの話題も狙う。両者のバランスを上手く考えており、この事例は少し特殊かもしれないが、結局は宣伝のためという理由があるのだ。

 

総務省が行ったアンケートがある。

平成 25 年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 :http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2014/h25mediariyou_1sokuhou.pdf

平成25年度の調査である。

平日の各メディア利用時間はテレビが168.3分でネットは77.9分という結果になっている。

年代別の統計ではあるが、総体的にみると未だにテレビの利用時間が高いのである。

 

芸能人を声優に起用する理由はここにあると考える。

未だにテレビが強いというのが理由なのだろう、

ミニオンズの戦略記事にあるように、キャストが決定した段階でテレビにより全国に露出する。映画のタイトルと芸能人の名前がワイドショーで読み上げられて、作品の認知度が一応は向上することに繋がるのだ。

その後もこまめにテレビで取り上げてもらうことが期待できる。それが芸能人を起用するメリットなのだ。

大多数の人はテレビの利用時間が長い。つまり情報を得る機会が多いのはテレビということになるのだ。

だから、配給会社は芸能人を起用する。そうして、ワイドショーの芸能コーナーで取り上げてもらう。それが宣伝の一役を担うのである。

 

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トイストーリー第1作で声優の山寺宏一氏が吹き替えに起用され、収録を終えていたのにも関わらず話題性という理由でお蔵入りとなり俳優が起用されるという事件も起きている。これもテレビでの話題性を狙ったキャスティングといえよう。

山寺氏はこの一件を機に知名度の向上を果たすべくタレント活動を本格的に開始し、今では絶大な知名度を得るに至った。

 

結局はテレビでの話題性という問題が大きいのだ。

映画というものはビジネスである以上、売れなければ意味がないのである。映画はヒットしてこそという物であるから、少しでも話題性や注目度を上げることに努めるのだ。

その一端が芸能人による声優活動だ。

芸能人を声優として起用すれば、宣伝における費用対効果が高い。

必要最低限の経費で、テレビという分かりやすい媒体で宣伝発信ができるのだ。

だから芸能人を起用するのだ。

宣伝に繋がるから起用するというのが配給会社であり、そうしなければならない余裕のなさも垣間見えてしまうのは気のせいか。

洋画が低迷している昨今の現状が大きく関係しているように思えるのだ。

 

極端な話ではあるが「この人が吹き替えをするか」という理由で一人でも劇場に足を運んでくれる結果になれば、その宣伝方法は成功したと言えるのだ。

 

テレビがまだまだ強い現在においては知名度という面だけを見ると(失礼な物言いになるが)「芸能人>声優」という事実は揺るぎようがないのだ。

 

芸能人声優というのは日本で声優が専業化してきた弊害なのかもしれない。声優界と芸能界のわけ隔てがあまりなければ、このような悲劇は起きなかったはずだし、いわゆるガラパゴス化の帰結といえる事例か。

 

結論としては、安く宣伝できるから芸能人を使用するわけだ。

この問題は解決するには声優のタレント性を今まで以上に増すことが必要なのだろうか。

ネットの影響力がより強くなり、ウェブ上マーケティングの成功例が出始めれば、配給会社の考えに変化が発生する可能性はあり得るだろう。

 

声の演技なのだからプロの声優を使えという意見は当然な物である。

見たい人は見に行く。これが悪循環を生んでいるのかもしれない。

やはりここは「芸能人を声優に起用するな」と意思表示のために映画を観に行かないという行動でも起こさなければならない時期に来ているのだろうか。

でも映画は劇場で見たいし、字幕版があるし・・・。という考えもきっぱり捨てて心を鬼にしなければならないのか?

結局、この問題で得しているのは誰なのか教えてほしいものである。

配給側も芸能人も文句を言われる。観客も失意に突き落とされてしまう。得をした人間は存在しているのだろうか?

 

個人的な意見としてはキャラクターにあっていて下手でなければ良いのではと思える。

プロの声優による吹き替えでも違和感を感じるのはあった。某怪獣とロボットが戦う映画の話だが、なんだか違和感を覚えるキャラクターがいた。

キャラクターにあった声というのは非常に重要だと思える。

ジュラシックワールドは(個人的に)それほど下手とは思わないものの、キャラクターにはあっていないと痛感した。

だからこの際、芸能人でもいいから上手く演技できる人をお願いしたいものだ。

 

芸能人の吹き替えの理想形としてはワイルドスピードのゴールデンボンバーなのかもしれない。

ガヤだが探せる楽しみ、エンドロール後に「こいつだったのか!?」と笑える要素。理想的なのでは・・・。

 


引用が多いので問題があれば訂正いたします。