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『君の名は。』の世界興収がとんでもないことになっている

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中国で大ヒット。台湾やタイでも大ヒット。世界各国で大ヒットという胡散臭いキャッチコピーがあながち嘘ではない作品がある。『君の名は。』だ。
日本では200億円を超え、異次元に突入した本作は海外でも(日本映画としては)異次元ともいえる記録を打ち立てている。

なんだかもう訳がわからないので、とにかく調べることが出来た7カ国+日本の興収を見てほしい。最後に日本を含めた世界興収を記している。

中国

初週ランキング1位
初週興収 2.8億人民元(日本円約47.3億円 1人民元=約16.9円)

12月25日までの累計興収 5.6億人民元(日本円約94.7億円)

※中国では二週連続1位を獲得

猫眼電影調べ
猫眼电影 - 一网打尽好电影

 

台北

初週ランキング1位
初週興収 2381万台湾ドル(約8659万円 1台湾ドル=約3.64円)

12月25日までの累計興収 8743万台湾ドル(約3.17億円)

※台湾は台北のデータしか調べられず。台湾全土のデータは不明。

開眼電影網調べ
開眼電影網--新版--

 

香港

11月11日公開
初週ランキング1位
初週興収 6,149,917香港ドル(約9334万円 1香港ドル=15.1円)

12月18日までの累計興収 29,819,004香港ドル(約4.52億円)

hkfilmart.com調べ
hkfilmart.com

 

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タイ

11月10日公開
初週ランキング1位
初週興収 635,719USドル(約7485万円 1USドル=117.7円)

12月4日までの累計興収 1,222,693ドル(約1.43億円)

※タイは現地通貨(バーツ)での詳細興収を調べられず。BoxofficeMojo調べのUSドル換算で算出。12月4日以降のデータも不明。
12月9日の東宝発表によると4412.2万バーツ(約1.4億円)に到達している模様。

「君の名は。」中国とタイで日本映画・歴代興収の新記録を樹立! : 映画ニュース - 映画.com

BoxofficeMojo調べ
Your Name (Kimi no na wa.) (2016)

 

ニュージーランド

12月1日公開
初週ランキング7位
初週興収 79,358NZD(約645万円 1NZD=81.3円)

12月23日までの累計興収 143,641NZD(約1169万円)

THE NUMBER調べ
New Zealand Box Office for Your Name (2016)

 

オーストラリア

11月24日公開
初週ランキング9位
初週興収 355919AUD(約3009万円 1UAD=約84.5円)

12月23日までの累計 1,075,783AUD(約9095万円)

THE NUMBER調べ
Australia Box Office for Your Name (2016)



イギリス

11月18日公開
初週ランキング23位
初週興収 27,009(約318万円 1ドル=約117.7円

二週目(11月25-27日)14位
二週目累計興収 255,099USドル(約3004万円 1ドル=約117.7円)

12月18日までの累計興収 466,772USドル(約5496万円)

※12月18日以降のデータは不明。BoxofficeMojo及びTHE NUMBERで調べたものの、両者はUSD表記だが興収に少し差異が見られる。累計はBoxofficeMojoに合わせている。

BoxofficeMojo及びTHE NUMBER調べ
Your Name (Kimi no na wa.) (2016)

United Kingdom Box Office for Your Name (2016)

 

日本


12月25日現在で213.3億円
※日本歴代4位の記録

興行通信社調べ

歴代ランキング - CINEMAランキング通信

 

世界累計興収 (12月25日まで)

318.6億円
USドルに換算すると2.7億USドル(1ドル=約117.7円)




中国の約94.7億円が世界興収を大幅にけん引することとなった。3Dスクリーンのシェアが高い中国で2Dオンリーかつ中国要素無しで100億円に迫る規模のヒットとなったことは革命といえる事態だろう。しかも二週連続1位という快挙まで成し遂げている。
3D版やIMAX上映があれば100億円は軽く超えていただろう。「2Dだけでここまでいける」となれば新海誠監督の次作は中国だけで3D版が公開される可能性は大いにある。

そしてアジア圏では旋風を巻き起こしている。日本、中国、台湾、タイでは初週ランキング1位を獲得し4冠を達成。これは日本アニメが既に受け入れられている土壌があるから成し遂げられたのだろう。

以外にもオーストラリアやイギリスなどでも健闘しているものの、大ヒットとは言えない数字になっている。文字通りの世界的大ヒットを遂げるにはオスカー受賞などのブランド力がなければ難しいのだろうか。

なおシンガポール、インドネシアなどでも公開されているが興収が不明だったので除外している。

『君の名は。』VSハリウッド作品

『君の名は。』は日本を含めた世界興収が318.6億円、USD換算では2.7億USドルとなる。この数値がどのようなものなのか、ハリウッド作品と比較してみよう。

VS『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』


世界興収2.45億USドル
2016年世界興収ランキング29位(12月28日現在)

VS『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』

世界興収2.81億USドル
2016年世界興収ランキング28位

VS『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』

世界興収2.99億USドル
2016年世界興収ランキング27位

『君の名は。』2016年世界興収ランキングで『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』に勝利していることになる。
そしてジョニー・デップ主演作や、ティム・バートン監督作にも肉薄する数字。なんですかこれは。(ただこれは1ドル117.7円という点を考慮する必要がある)

日本のアニメ映画が世界興収ランキングに載る事態になっている。(殆ど日本と中国の成果だが…)
海外ではこれから公開される国もあるため、世界興収はさらに伸びるはずだ。

日本映画でも世界で可能性がある、ということを『君の名は。』が示してくれた。今後の日本映画の動向に目が離せない。

ピコ太郎といい、今年は日本発のエンタメが世界を席巻する年だった。『君の名は。』の世界的なヒットは本当に理解が追いつかない…。

 

『君の名は。』が中国で成し遂げた革命とその意味について

君の名は。(通常盤)


とんでもない事態になってしまった。日本と中国のみならず、全世界の映画業界に衝撃を与える大事件、いや革命を成し遂げてしまった。

『君の名は。』が中国で爆発的なヒットを記録した。全世界を震撼させた「まさか」の大ヒット。今頃ハリウッドは泡を吹いて気絶しているかもしれない。この大ヒットは世界の映画業界に衝撃を与えただけではなく、おそらく政治も動かしてしまいかねない事態に発展するだろう。ハリウッド以外の外国映画初となる偉業とその意義とは何なのか、ひも解いていきたい。

 

・たった三日間で日本二週目の興収を抜く

『君の名は。』12月2日から中国で公開された。(厳密に12月1日に小規模ながら先行公開されている。2日から中国全土で拡大かつ本公開された形だ。)
初日となる2日だけで7596万元(日本円換算約12.5憶円 1元=約16円計算)という驚異の数値を記録した。日本は公開三日間で12.8憶円の興行収入を記録しているため、たったの一日で日本の初動興行収入と比肩しうる成績を記録した。

そして三日間では2.89億元(約47.6憶円)という驚異の数字になっている。(先行となる1日は223.9万元)

日本では二週目でようやく38億円これでも異例の速さなのだが中国はたった三日間で日本二週目の記録を大幅に上回ったのだ。

 

・IMAX等の特別興行なしで大ヒットを記録

『君の名は。』が凄まじいのは”2D”しか公開されていないにも関わらず、驚異の2.89億元を記録した。
中国では「いまどき2Dのみで公開される映画はヒットしない」といわれている。今年公開となった『ジェイソン・ボーン』は日本や欧米では2Dのみで公開されたが、中国では3D版が公開されているほどだ。

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3DやIMAXなどの特別興行を行えば通常料金から割増となり、それだけで興行収入が増えることになる。(日本では3Dの場合通常料金からプラス400円ほど追加となる)

現在、中国で公開されている『ファンタスティック・ビースト』、『ドクター・ストレンジ』はIMAX3D及び4Dで公開されている。当然、特別興行扱いのため割増料金になっている。その恩恵があり『ファンタスティック・ビースト』は公開三日間で2.83億元、『ドクター・ストレンジ』は3億元の興行収入を記録した。

だが『君の名は。』は特別興行がない。2Dのみで公開されている。にもかかわらず、2.89億元という数字を記録したのだ。2Dだけで特別興行ありのハリウッド大作映画と何食わぬ顔して戦えているのだ。3D人気の高い中国では異常というしかない事態が発生したのだ。

 

・2D映画としては2016年最大のヒットかつ最速で1億元超え

2016年に中国で公開された2D映画の中では最大のヒットとなり、最速で1億元を超えるという勢いを見せつけた。

初日だけで7596万元となり二日目の午前には1億元を超えてしまった。また二日目だけで1億元を超える成績を記録している。デイリーで1億元超えは中国及びハリウッド映画しか成し遂げたことがない。つまりハリウッド以外の外国映画では初となる偉業を成し遂げたのだ。

 

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・中国要素などの小細工なしで大ヒット

現在世界の映画界は資金難などに喘いでいる。そのため確実に製作費を回収するための方法として中国で公開しヒットさせようとしている。これはハリウッドのみならず世界の映画界が主流な動きになりつつある。中国はヒットすれば100億円は堅いといわれる市場に成長しているからだ。

近年のハリウッド映画は中国要素が多いと感じることはないだろうか。直近でも『インデペンデンスデイ・リサージェンス』に中国人女優が出演し、『トランスフォーマー・ロストエイジ』は物語後半が香港に移行している。(悪い言い方だが)露骨な中国要素が登場する作品が増えているのだ。

中国ロケ、中国人俳優の出演、中華街が舞台、など中国の観客にうけるような方策をとる作品が増えている。上映規制を回避するために中国企業と共同制作を行うスタジオも増えている。


すべては中国で確実に公開し、確実にヒットさせるための処置だ。中国で公開し大ヒットすれば製作国で大コケしても製作費回収のみならず収益の目処がつくことがある。13年公開の『パシフィック・リム』は製作国アメリカよりも中国でヒットした。中国でのヒットがなければ続編は存在しなかった。だからこそ、世界は中国を目指すのだ(悪い言い方をすれば「中国に媚びる」のが近年の主流である)

しかし『君の名は。』に中国要素はない。中国吹き替え版が作られたが、これは中国要素とは呼べない。
舞台は日本。東京と飛騨の田舎の住む少年少女が入れ替わる話だ。神事など純和風な場面が登場し、日本しか感じない設定と脚本になっている。物語のどこにも「中国」の「ち」の字も存在しない。

それなのに大ヒットした。ハリウッドなどの世界中のスタジオが必死になって積み上げてきたコネクションやゴマするような態度をあざ笑うかのように、『君の名は。』は大ヒットを記録してしまったのだ。世界中の苦労はなんだったのかといわんばかりの事件、いや、もはや革命と呼ぶべき出来事なのだ

特に中国へ迎合してきたハリウッドスタジオは真っ青になって泡を吹いて気絶しているかもしれない。それほどまでの革命的事件が起きてしまったのだ。

ちなみにハリウッドスタジオの契約では中国興行収入の4分の1が製作側の取り分になる。日本はどのような契約をしているかは不明だが、仮にハリウッドとおなじ契約をしていた場合はこの三日間の成績だけで11憶円前後が収益として日本に転がり込んでくることになる。

Record Chinaの報道によるとどうやら中国配給の光線伝媒配給権を2000万元(約3億3000万円)ほどで取得したとのこと。買い取り方式のようだ。そのため日本にはこの額しか入ってこない様子。今後中国で公開する作品は、中国興行収入から正当な利益を得られる分配方式の採用を交渉していく必要がありそうだ。

「君の名は。」中国で大人気も、日本はまったくもうからない... - Record China

 
東洋経済の取材によると配給権は買い切り式だが、中国でのヒットに応じて日本側にもボーナスが支払われる契約を交わしているとのことだ
現在の中国では海外映画の利益分配方式が34本に限定されている様子だが、本作を機にボーナス(インセンティブ)契約が増えるかもしれないと東洋経済は予測している。

映画「君の名は。」が中国でも支持される秘訣 | 映画・音楽 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

・ブランド力が無いのに大ヒット

新海誠は日本のアニメファンに知られた存在ではある。中国でもアニメファンの間では名が知られた監督ではある。しかし、一般層には知名度が皆無に等しい。日本でも公開前まで知名度は低い状態だったのだから、異国中国の一般層における知名度は容易に想像できるだろう。

それなのに、中国でも大ヒットした。単純に人口が多いからアニメファンも多いなどという言葉だけでは片づけられない現象だ。WeiboなどのSNSで口コミが拡大し大ヒットにつながったようだ。どうやら日本と同じ現象が起きたらしい。今後も口コミで更に記録を伸ばすことが期待されるが、中国はヒット作でも一カ月ほどで上映が終了してしまうため予想が難しい。


15年公開の『STAND BY ME ドラえもん』は5億元を超える興行収入となったが、これは絶大なブランド力を誇る『ドラえもん』だからこそ成しえた記録だ。だがブランド力がない『君の名は。』はこれを超えると思われる。

 

『君の名は。』は中国で11月25日に公開されたディズニー作品『モアナ』の累計興収を超えている。ディズニーブランドすらも太刀打ちできない状況なのだ。

 

・これは政治を動かしかねない事態

中国は自国映画の保護のために外国映画の年間上映本数が決まっている。今年はその規制本数を上回って公開された作品もある。『君の名は。』もそれに該当する。突如上映日が決定し、大ヒットとなった。

中国で公開された日本映画は大ヒットしていない。比較的人気が高い『ワンピース』や『ナルト(BORUTO)』ですら1億元程度に留まっている。そのため誰もが最終3憶か4億元だろうと予測されていたがそれを覆してしまった。

想定外の大ヒット、そして日本映画という政治的観点からのややこしさもあり、自国映画保護の観点から上映回数が突如として減少し、上映が打ち切られる事態も想定される。

現在、中国はアニメ分野の強化に腐心している。日本にはまだ数多く入ってきていないが、中国産の2D及び3DCGアニメが多数公開されている。国産アニメの強化に努めている最中に日本アニメが大ヒットしてしまったのだ。中国政府にとっては一大事といえる。
本作の大ヒットから中国政府は日本アニメに対する規制をより強めることは十分考えられる。


『君の名は。』は単純なヒット作として片づけることができない。政治的駆け引きを生みかねない大ヒットなのだ。『君の名は。』は日中のみならず世界中の映画、そして政治までもを刺激してしまった。

 

・まとめ

もはや偉業を飛び越え、革命とも呼べる事件だ。世界中の苦労をあざ笑うかのように、嵐を巻き起こしてしまった。いったい何が起きているのか、日本も中国も世界も理解できていない事態が起きたのだ。

これから日本映画の中国進出がさらに加速するだろう。ハリウッドのように中国に迎合した日本映画が出現するかもしれないし、中国企業が日本映画に投資する動きも出てくるはずだ。(投資があるからと言って必ずしも中国要素を盛り込む必要はない。ハリウッド作品でも投資を受けているが中国要素がほとんどない作品も存在している)

このヒットで日本映画の構造が劇的とはいかなくても緩やかに変貌するだろう。内向きだった日本映画が外へ向く動きが出てくるはずだ。海外でも戦える日本映画となれば、中国のみならず世界中からお金が舞い込んでくることになる。海外と組むことで今まで見たことのない規模の日本映画が登場する可能性は十分にあり得る。

これは喜ばしい事態だ。中国で日本アニメの立ち位置を大きく変貌させ、同時に世界中へ日本映画の底力を見せつけた。日本映画も中国でイケるとなれば、今後の日本映画界及び世界映画界のお金の流れなど様々な要素が大きく変貌するはずだ。
また今後は中国の興行収入から利益を得るための交渉も必要となる。


だが、同時にこれは喜べない事態でもある。中国が日本コンテンツをより強く締め付ける動きを生みかねない。政治を刺激してしまったのだ。それを回避するために日本も政治的駆け引きを要求されることになるだろう。

たった一作で世界の映画業界の構図を大きく変貌させてしまった。『君の名は。』は世界中を未知の領域へと引きずり込んだのだ。

これから先、世界の映画界はどうなるのか。下手をすると世界の映画界は『君の名は。』以前と以降で論じられる未来が訪れるかもしれない。それほどの大ヒットを成し遂げてしまったのだ。

これはただのヒットではない。



新海信者が『君の名は。』を見て新海誠に敗北した話

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本当、どうしたんだろう。新海誠は一体どうしたんだろうか。東宝という大スタジオと組むと、新海誠ですら大衆性を得られてしまうんだろうか。

『君の名は。』を見た。あまりの衝撃に「いつもの新海じゃない…」と信者、いや新海保守派の僕は動悸、息切れが発生した。こんな終わり方は新海誠じゃない…。そう失望したのも事実。

だけど、この作品を読み解いていくと新海誠の成長っぷりに気付いた。なんてことだ、新海は先に行ったんだ。保守的な思想にとらわれすぎて、僕は成長していないだけなんだ。だからこそ、新海に負けた。完敗したことに気付いた。

ネタバレがあります。

『君の名は。』は不安しかなかった

新海誠に出会ったのは『秒速5センチメートル』でした。予告編を見て「なんだこの綺麗な絵は…」と衝撃を受け劇場へと足を運び、見事拗らせた。すごい、こんな作家がいるんだ。
以降、新海信者の道を歩むことになった。

新海作品は芸術的な背景と、どこかむずがゆく恥ずかしくなるモノローグの多様。それ故に、絵の評価は高くとも、肝心のお話は一部のオタクにしか受けなかったのも事実。それがドンピシャに僕の心にはまった。

そして、新海は長編に弱い。『雲の向こう、約束の場所』も正直中だるみしたし、『星を追う子ども』に至っては信者の僕ですら擁護し辛い、ジブリ丸パクリの作品だった。ただこの長編2作品も、新海誠らしい喪失という物は内包していたから、いつもの新海らしさはずっと貫き通してきたわけです。
ただ、長編の物語構成は本当に擁護しにくい。星を追う子どもを見たときは「もうお前は長編作るな」と願ったほど。だからこそ、短編の『言の葉の庭』が出たときは「新海、お前は自分を分かっているんだな、よかった」とペロペロしたくなった。

だからこそ『君の名は。』が発表された時は不安で胸が張り裂けそうになった。
ちょ、長編…?新海作品初となる300館規模の公開…?音楽はRADWIMPS…?
ちょっと待てと。新海、お前は自分が何をやろうとしているのか、理解しているのか、と。戻ってこい。今ならまだ間に合う、と。
「ポスト宮崎駿・細田守」と銘打たれたことにも怒った。
新海作品はなあ、両名のように大衆受けする作品じゃねーんだよ。拗らせた評論家気取りのオタクがあーだこーだと批評してペロペロするのが新海作品なんだよ、東宝は考え直せ。頼む。と願ったもの。

そして『君の名は。』が7月26日に公開された。信者としては初日初回に鑑賞するのはもはや義務だ。前売りを指定席と引き換える際には「新海の長編、ああ、不安だ…。どうしよう」と吐き気を催したほど。

劇場は異様な雰囲気に包まれていた。
初日初回なのに、カップルや学生集団の姿が目立つ。おいおい、と大声で突っ込みたくなった。
これは新海作品だぞ?どうせ今回も僕みたいな信者しか喜ばん、言っちゃ悪いが独りよがりで童貞臭さが漂う気持ち悪い作品だぞ。そんなのばかりを作ってきた新海誠だぞ?
おいおい、お前ら知らんぞ。どんな気持ち悪い作品が来ても、責任はとれないぞ。どんな感情に陥っても知らんぞ、と思った。まあ、言葉は悪いが、僕はその気持ち悪さが大好きだったわけだけど。
いつもの新海作品とは全く異なった客層に戸惑いつつ、拗らせたキモオタはひとり静かに着席した。

そして上映が始まる。山崎賢人主演の漫画原作映画の予告を2作品を見せられ「山崎賢人も大変だな」と同情しつつ、遂に『君の名は。』の本編が開始された。

以後、物語の核心及び終盤部分のネタバレがあります。

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僕の負けだ

鑑賞直後、劇場内のあちらこちらから「やばい」「泣いた」とかいう言葉が聞こえてくる。
しかし、僕は絶望した。こんな、こんな終わり方は新海じゃない…。なんで無事に出会うんだよ…。新海、そこはすれ違ったまんまでよかっただろ、いつもの終わり方でよかっただろ…。なんでこうした。なんでだ、新海…。と裏切られた気分だった。

新海は死んだ。もうかつての新海はいない。そんな絶望が襲い、途方にくれながら家路につくしかなかった。
おかしい、新海はどうしてしまったんだ。そうだ、東宝の入れ知恵があったんだ。そうとしか思えない。うん。とどうにかして自信に去来する虚無感を消し去ろうと、同時に新海を擁護しようとした。

だが、鑑賞後、様々な意見を目にするうちに、自分の浅はかさに気づいた。なんてことだ、これは新海作品の集大成じゃないか。

今まで自分は何を見ていたんだ。そうだ、これは集大成なんだ。
主人公・瀧と、ヒロイン・三葉がスマホ(携帯)でやりとりするのは『ほしのこえ』だ。
眠りで異なる時空に繋がり、そして大切なものを忘れてしまうのは『雲の向こう、約束の場所』だし、電車に乗りヒロインを探す、桜の描写、雪の降る歩道橋は『秒速5センチメートル』だ。

あの世とこの世を繋ぐ場所というのは『星を追う子ども』で、万葉集が出てくるのは『言の葉の庭』である。雪野先生も出てくるしね。

これまでの新海作品の要素を詰め込みまくった贅沢な作品なんだ。なのに、僕はラストで瀧と三葉が再会してしまったことばかりに囚われてしまった。いつものように、二人は再会せず、再会してもどこか喪失感のある締め方でなければならないんだ。

そんな考えに囚われ過ぎてしまっていた。なんてこった、僕は浅はかすぎたんだ。これは集大成じゃないか。

そして、『君の名は。』が明らかに東日本大震災をモチーフにしているという事実に気付いた瞬間、僕は倒れるしかなかった。

今作は瀧と三葉が入れ替わるという作品だ。だが二人は3年間の時空を超えて入れ替わった。予告でも印象的だった彗星がキーとなっている。彗星の落下により三葉は死んでしまう。それを回避するために、瀧は尽力するという作品だ。

この彗星落下により、街が消滅してしまう。これは明らかに震災をモチーフにしているというしかない。あの大震災を救おうとする少年少女を描いた作品と捉えることが出来るのだ。

311を救えたらという希望と願い。それをフィクションで、彗星落下という形ではあるけれど、実現した作品なのだ。皆が笑顔のまま暮らせる未来を手に入れる。それが『君の名は。』だ。

シン・ゴジラも震災をモチーフにしている。あちらはリアルシミュレーションとして描いたが、『君の名は。』は幻想的な青春SFファンタジーとして震災を描いた。両作品は表層的には全く異なっている。だけど、根本は同じなのだ。同じものをモチーフにしているのだ。

だが、『君の名は。』が凄まじい点は震災を青春SFファンタジーに落とし込んだ点だけではない。
瀧は後に大災害をもたらすことになる彗星を東京の自宅で目撃する。それを見て「美しい」との感情を湧き上がらせる。

これがのちに一つの街を消滅させる大災害を引き起こしたものであると、瀧は理解するのだけど「美しい」と感じた気持ちを誰も罪として攻めることはせず、瀧自身も悔やまない。
大災害の原因となった物を見て「美しい」という感情を否定することなく貫き通しているのだ。これは震災後の作品としては凄まじいというしかない。

津波を見て「凄い」と漏らせば周囲から「人が死んでいるんだ、何が凄いんだ」と言われるだろう。だけど『君の名は。』はそんな人が一切出てこない。美しいと感じたことは事実だし、実際に美しかったのだから仕方がない。それが人間の感情という物だ、ということを新海誠は伝えにきた。

僕はこの「美しい」という単純明快な言葉が孕んだ事実に気付いた瞬間、敗北した。
新海誠に僕は負けた。

新海誠はこんな社会的な投げかけをする男ではなかったはずだ。今までの新海作品は淡々と人を描いてきた。それなのに『君の名は。』では明らかに震災をモチーフにしてきて、それを見事なまでに青春SFファンタジーとして落とし込み、かつテンポもよくまとまり、素直に感動できる傑作に仕上がっていたのだ。

負けたよ。ラストばかりに気をとられて感情的になった自分が馬鹿だった。完敗だ。新海に僕は負けた。

所謂『震災後文学』だからこそ、いつものようなすれ違い喪失感を与えるラストであってはいけないんだ。再会してこそ、人々に希望を与える作品になるんだ。

いつものような、希望があるのかないのかはお前たちが読み取れ、といういつものようなラストでは駄目だったんだ。それでは読み取れない人が出てきて苦痛に感じてしまうだろうから。
あの人が三葉だったのか、それは読み手次第、なんていつもの新海らしい終わり方は震災を経験してしまった日本人からすると痛み以外の何物でもない。


そして「お前が世界のどこにいても必ず会いに行く」という瀧のセリフ。この作品は瀧が三葉を探しているだけではいけないこと、再会しなければならない事が、作中で示されているのだ。作中の伏線を回収するという意味でも、作品を一本の糸にまとめるという意味でも、再会エンドしかあり得ないのだ。そう、再会してこその結びなのだ。

なんてことだろう。この作品はいつもの新海らしさ、モノローグや背景美、そして切なさなどは残し震災をモチーフにしながらも大衆性を獲得するという、驚異の進化を見せつけた。

『君の名は。』は拗らせた僕のような信者を炙り出す作品なのだ。保守思想に囚われた僕たちを炙り出し、そして敗北させるために新海誠が仕掛けた罠なのだ。

新海誠は遠くに行ったという人がいるがそれは間違っている。
新海は確かに先へと進んだ。だけど、その速度は急なものであるが、僕たち信者が追いつくことが出来る速度のはずだ。僕たち拗らせた信者は、進むどころか座ったままだった。立ち上がることもせず「新海はこうあるべきだ」と過激な言論を巻き散らかした。だから、新海誠が先へと進んだことに気づけなかったんだ。

新海、お前は凄い成長したんだな。僕は昔のままだ。
お前に追いつくよ、どんな速さでもお前に追いつく。そう決心したよ。

新海、お前は今後名前で売れる作家になるんだろうな。細田や宮崎駿のようなファミリー路線は無理だろうけど、若者向けアニメ作家としての地位を築けると思う。新海、お前はどこまでいくんだ。どこへ行っても追いかけるからな。

ありがとう新海。自分の保守主義に気付かせてくれてありがとう。敗北させてくれてありがとう。感謝している。

文句を言うとすれば、劇伴の使い方だろうか。色々と過剰に使いすぎた気がしている。だが彗星が落下する場面で流れる『スパークル』の使い方は完璧というしかない。これ一曲で劇伴への文句も帳消しできる。

僕の負けだ。

 

キンプリの応援上映に行ったら観客が先鋭化しすぎていて限界だった

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何かと話題を振りまいているキンプリ。
毎日TLで話題になっていることもあり「もう一度みたい」と思ったので、応援上映に行ってきたんですよね。

初鑑賞時も応援上映だったのだけど、そのときはコールも何も知らない状態だったのだけどとても楽しめた。映画の新時代が到来したって思いましたね。


初めての応援上映はすごく楽しかったんですよね。もう最高、もう一回行きたい!って思うほどでした。応援上映そのものは素晴らしいシステムですよ。

前回は田舎の劇場だったので客入りはそこそこ。満員状態ならもっと楽しいんだろうと思い、今回は大都会の劇場まで赴いたわけ。

結論から言うとひど過ぎた。オタクが先鋭化しすぎていて、ついていけなかった。
応援上映そのものを批判する記事ではないことを断っておきます。個人的な意見としては他の映画に広まってもいいと思っています。だけど、ここの応援上映は「それなんか違うだろ」と思うほどひどかったんですよね。

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初心者お断り

コールは予習して、キングブレードも購入してノリノリで劇場に向かったんです。
応援上映って観客と作品の対話だと思っていたのだけど、この劇場はひどい。

観客同士でノリツッコミ始めるんですよね。
コールの場面を間違えた人がいたら「まだ早いよ!」って突っ込んできやがるの。それで劇場が笑いに包まれる。僕は二回目だったから何とか笑うことができたけど、初鑑賞者からしてみると意味不明すぎて完全に置いてけぼりだよね。あほなのかと。

それに最前列でやたら目立つやつがいる。目立つのはいいけど、そいつの音頭に他の観客が従うっていうスタイルになってた。
そいつが「回想始まりまーす」というと他の観客は「はーい!」と答える。なんだこいつらって思った。こいつ応援上映を私物化しすぎだろと。ここは体育祭の応援団かなんかかよ。ふざけんなよ。

こんな感じで観客同士のノリツッコミが延々と続いていくし、ヤジも多くて適切なコールがわからなくなってしまった。どこで何を言えばいいのかさっぱりわからず、とりあえずキングブレードを振るしかなく。振っても楽しくないってどういうことよ。

寒いノリツッコミのおかげで心が削られていく始末。初参加時とは勝手が全く異なるおけげで全然楽しめなかった。パワーインフレってこういうことなんだと実感させられましたね。『バットマンVSスーパーマン』でラストバトルについていけないバットマンの気持ちがよく分かった。

上映が終わると「お疲れ様でした!」と例の応援団長が叫ぶ。これはまあいい。実際に疲れたからな。
続けて「次回もよろしくお願いします」とか抜かしやがるの。次も参加する前提かよ。なんだよ部活かよ、ふざけんなよ。応援上映ってそういうものじゃないだろ。スクリーンと観客の対話じゃないのか。いくらなんでも私物化しすぎだろ。

こんなに楽しめないとは思っていなかったわ。通路挟んだ隣に座っている人も目が完全に死んでいたし、僕と同じ心境なんだろうなあと思いましたね。

感情を返して

初めてプリズムショーを見た時の感情を返してよ。今回は煌めきなんか全く感じなかったよ……。

初参加時の応援上映は「映画観賞のスタイルが大きく変わった、これは大事件」と思ったほどの衝撃、そして楽しさがあった。何度も参加する人の気持ちが理解できたし、僕も実際にそうなったから二回目に行ったわけなんですよ。

だけど、今回は内輪に打ちのめされた。なんか違うな、違うよな、と違和感ばかりが募っていき精神が消耗する始末。観客同士でノリツッコミするなら自宅でやれよと。アホなのかなって思う。

応援上映なのだし騒いだりするのは構わない。ばか騒ぎ最高!って思う。だけど
観客同士でノリツッコミするような「内輪ノリ」で盛り上がったりするのはどうなのかと僕は思いますね。

何度もいますが、僕は応援上映肯定派です。他の作品にも広まれば良いと考えているし、皆もこの楽しさを体験してほしい。
だけど、ここの応援上映は内輪ノリが酷すぎた。内輪で楽しむのは違うんじゃないのかと、僕は問いかけたい。内輪ノリなら映画館でやる必要はないじゃない?って何度でも問いかけたい。

応援上映にも節度が必要なのかなと考えさせられますよ……。応援上映怖い。

『行け!般若マン』はヤバい、マジでヤバすぎてヤバい

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久々にヤバイ作品を見た。あまりにもヤバすぎたので記さねばならない。ヤバイしかいえねえよかよ、と思われるだろうが、般若マンを見る前と後では僕の語彙力が大幅に失われてしまった。
@Sanyontamaです。

『行け!般若マン』という作品がをご存じだろうか?
清洲昇吾氏が『行け!ゴッドマン』などの『行け!シリーズ』にオマージュを捧げて制作した作品だ。「行けシリーズ(勝手に)40周年記念作品」と銘打たれている。

凄い。こんな作品が存在しているのか。自分の世界が狭すぎるという事実を突きつけられた。

これ以降は「ヤバい」しか言っていないので閲覧に注意してもらいたい。レビューでも感想でもなんでもない。備忘録にすらなっていない。

ネタバレがあります。物語を最初から最後まで記しています。

何もかもがヤバイ

とあるイベントで本作が上映され、会場は笑いと衝撃の渦へ叩き込まれた。久々に「ヤバい。これはイカレている。頭がおかしい」と感じた作品だ。語彙力を奪われてしまった。

何が狂っているのかと言うと、1話は3分20秒ほどなのに、OPで1分近く消費する。ヤバイ。本編が短すぎる。

OP曲は歌唱と歌詞テロップがあっていない。歌唱にワンテンポ遅れて歌詞テロップが表示される。ゴッドマンもこんな感じだった。リスペクトしまくっててヤバイ。

第1話

人間(メガネ君)が地球に落ちてきた悪役・ザイアーク星人の宇宙船を弄ぶ。

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こいつのせいでザイアーク星人が宇宙船から解き放たれてしまう。ヤバイ。宇宙船には見えないものを弄る好奇心がヤバイ。

そしてこうなる。

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追いかけられる場面はスロー演出のおかげでシュルレアリスムな映像になっている。

その後、唐突に般若マンが登場する。

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横溝作品とかに出てくる殺人鬼にしか見えない。なんだこの姿は。ヤバイだろ。

1話は般若マンとザイアーク星人が対峙して終わる。ヤバイ。尺の使い方を間違っている。ヤバイ。OP削れよ。

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第2話

冒頭から「般若ファイト!」と叫び出す。レッドマンかよ。
なお本作は現在のレッドマンブーム以前に制作されている。清州監督の名誉のためにも"便乗"ではない事を伝えておきたい。

アクションはぼんやりとしている。もっさりではなくぼんやりとしている。

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ペチペチって感じのアクションが続く。切迫感や緊張感が皆無。こんなのが延々と続く。緩すぎてヤバイ。

第2話はなんか般若マンがピンチに陥って終わる。

第3話

最終回である第3話は何もかもが狂っている。

色々あって危機を切り抜けた般若マン。遂に必殺の武器を使う!
必殺の武器は「般若マン・ソード」と言うらしいが、どうみてもドスにしか見えない。

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おかげで般若の面をかぶった猟奇殺人鬼にしか見えない。
石井輝夫作品とかに出てきそう。これは返り血で着物と面が汚れる奴ですわ。血まみれで廊下を歩いていたら、鉢合わせた人が気絶するパターンですわ。

このドスをザイアーク星人へと突き刺す。"グシャ"っという生々しい音が響き、勇猛に響いていたBGMも停止する。なるほど、ここが笑いどころかと言わんばかりの演出にイベント会場が爆笑で彩られた。

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もがき苦しむザイアーク星人を抑え込む。ドスを深く刺し込むためだろう。息の根を確実に止めるという気概が感じられる。最近のヒーローは怪獣に優しいから困る。
悪は徹底的に懲らしめる。これこそヒーローのあるべき姿だ!

そして、死亡(?)したザイアーク星人は抜け殻(?)のようになり、ビルに覆いかぶさってしまう。

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般若マンは抜け殻(?)を消し去るために謎の技を使う。

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 「般若マン超電磁波!」とか発言していた。なんで電磁波なんだよ。もっとカッコイイ名前あるだろ。ネーミングセンスなさ過ぎてヤバイ。

電磁波を使うと抜け殻が爆発する。

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爆発する。

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 爆発に巻き込まれて街が吹き飛んでしまう。

般若マンの方が街を破壊してんじゃねーか!!

ザイアーク星人は街に出てすらいないんだぞ。公園で暴れてただけなんだぞ!なんでこうなるんだよ!!

なんなんだよこれは。

そしてメガネ君はこれである。

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全部お前が悪いんだろーが!

お前が宇宙船を弄ばなければ街は吹き飛ばなかったんだよ!
なんだよこれは…。なんで喜んでるんだよ…。頭おかしいだろ…。

ちなみに般若マンもこれである。

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このやりとげた感。

ドスでザイアーク星人をぶっ殺し街を吹き飛ばしているのに、このダブルピースである。
ここまで突き抜けていると何もかも許してしまえる。こんな姿を見てしまうと般若マン最高!と思えてくる始末だ。

ヤバイ。ヤバすぎる。何を考えて生きればこんな作品を作れるんだ。理解できない。
ここまでぶっ飛んでいると全部愛せてしまう。ヤバイ。意味不明すぎて愛おしくなるってどういうことだよ。

本編以外もヤバイ

ヤバイのは本編だけじゃない。

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パッケージは凝っている。
その1ってなんだよ。その2はいつ出るんだよ。

ちょっと待てよ、なんかおかしいぞ。

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本編における第2話の表記は"その2”だったぞ!
もちろん第3話は"その3"だ。
すでにその2は存在しているが、実際に"その2"はまだ製作されていない。何がどうなっているんだ。
支離滅裂すぎるだろ。意味がわからない。日本語がおかしくなるわ。何が言いたいのか僕にも分からん。

そしてこの中身である。

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パッケージに拘るならラベルにも拘れよ!!!

どこで力尽きたのか。デザインが思いつかなかったのだろうか?
ヤバイ。やる気があるのか無いのか読み取れなくてヤバイ。だからその1ってなんだよ…。

実は深い

未だに続編は製作されていない。イベントではその理由を清洲昇吾監督が語った。

「敵が足りないから続編が作れない」

深すぎる。
ヒーローと言うのは悪役がいなければ成り立たない存在だ。その悪役が不在では作品が成り立たない。これは深い言葉が出てきたぞ…。

ヒーローが悪を呼び寄せると言われることがある。シビル・ウォーでも言及があったほどだ。ヒーローさえいなければ、世界は平穏無事なのでは。
ヒーローが活動しなければ、悪を呼び寄せることもない。般若マンはそこへ踏み込み、そして体現している。
哲学の世界である。ヒーローの神性に踏み込んだ名セリフと言える。

監督はヒーローとは何かという哲学に挑戦しているようだ。これは迂闊に続編を作れとは言えない。

なお現在敵は募集中とのこと。
般若マンがいなければあの世界は平和を保てるのではなかろうか。募集というのもヒーローの哲学に挑む要素に思えてしまう。般若マンとはヒーローに一石を投じる作品なのかもしれない。

これは深い作品といえる。

本作のDVDは各地のイベントでしか入手できないようだ。鑑賞してみたい人は根気よく探すしかない。どこかで見つかるだろう。諦めなければ幸せはきっとやってくるはずだ。